2023年に73歳で亡くなった“演歌の女王”八代亜紀さん。あるレコード会社が4月発売する予定のアルバムに極めて“プライベートな写真”が同封されることに、大きな波紋が広がっている。「イット!」のインタビューにレコード会社の社長は「『亜紀ごめんな』っていう気持ち」などと八代さんにわびつつもも、一歩も引かない姿勢だ。これには“ある理由”があるというが、一体どういうことなのか――。

“プライベート写真”が「特典」に…批判相次ぐ

鹿児島県にあるレコード会社が4月21日に発売する予定のベストアルバム。

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そこに、八代さんが20代の頃に同棲していたディレクターによって撮影されたという極めて“プライベートな写真”が「特典」として同封されることが発表された。

これを受け、SNSでは「人の道から完全に外れている」「金儲けのために死者の尊厳を踏みにじる行為」と批判の声が上がった。

ネット上では「#八代亜紀さんの尊厳を守れ」というハッシュタグがトレンド入りした。

さらに署名サイトでは、八代さんの尊厳を守るため、アルバムの発売中止を訴える約4600件の署名が集まっている。

街でも「悲しいですよね。それ目当てで購入される方もいると思うと残念でならない」「それを公にするなんてあり得ない、ひどすぎます。八代亜紀さんかわいそう。涙出てきちゃうね。男性女性関係なくプライベートな写真を公にするなんて許せないです」といった“受け入れがたい”という声が多く聞かれた。

一方で、アルバムを発売するレコード会社はSNSで「告知通りに商品を発売して行きます。当社は問題と成っている写真などすべての所有権を有しており、売買契約書もございますので(中略)写真類一式を買い取って頂ければお譲りする方針です」と、あくまで“販売は中止しない”考えを強調した。

これに対し、八代さんが生前所属した事務所の社長が14日夜、声明を発表。

八代さんが生前所属した事務所社長の声明文より:
刑事民事を問わず、あらゆる手続きの準備を進めているところとなります。抗議の声を上げていただいた、皆さまに、心より感謝申し上げます。極めて不愉快な出来事であり、絶対に許すことのできないものであります。

事務所側は、レコード会社側と争う考えを示した。

「男の意地として」レコード会社社長は“徹底抗戦”の構え

果たして、レコード会社側はどう対応していくことになるのか。社長自身に話を聞いた。

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
僕も“男の意地”として(姿勢は)変えないです。八代の権利もの全て買い取ってくださいよ。

“プライベート写真”の同封は取りやめないと“徹底抗戦”の構えを見せる社長。
そもそも八代さん本人の許可はとっているのだろうか?

――八代さん本人に言葉として許可をもらった?
ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:

ないですよ。肖像権は亡くなった場合は消えます。(八代さんに対して)「亜紀ごめんな」って。 あの世で会ったときに「亜紀怒らないでくれよな」。

八代さんにわびつつも、一歩も引かない理由…。それは、八代さんが生前に所属した事務所の社長が八代さんの死後すぐに、その名前を冠した新事務所を立ち上げたことなどに憤りを覚えたためとしている。

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
(八代さんの死後)あまりにも手際よく「すぐ自分の個人会社をなぜ作る必要があったの?」と。言い方は悪いけど“戦争の弾”になったわけですよ。(所属事務所の社長に)“揺さぶり”をかけて「どういう反応をするだろう」ということまで考えて動きました。

所属事務所の社長への“揺さぶり”として“プライベート写真”を世に出すというレコード会社の社長。

生前、八代さんとの間では次のような“やりとり”があったと話す。

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
(プライベート写真を)「亜紀買ってよ」と俺は軽く言ったわけです。(八代さんが)「私お金ないもーん」って。「いいよ気持ちで。100万でも200万でもいいよ」っていう話をしようかなと思っても「お金なきゃしょうがないよね」と。
だからまさか僕も(プライベート写真を)使うと思ってませんでした。こっちの“刀”ですよね。まさか抜く時が来るとは思っていませんでした。

本人の死後に“プライベート写真”を世に出す行為に法的な問題はないのだろうか?

橋下綜合法律事務所 松隈貴史弁護士:
民事上であればもちろん「肖像権」とか「プライバシー侵害」であるとか、そういったものを元に争うことはできる。

アルバムの発売予定日まであと6日。八代さんの“尊厳”は守られるのだろうか。
(「イット!」4月15日放送より)

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