東京・日本橋にある株価ボードは7日、下落を意味する緑色で埋め尽くされていた。

取材に応じた80代の男性投資家のスマホの画面にはマイナスを示す青い数字が並び、「きょうの私の売却損益は190万円。笑っちゃう」と力なく漏らし…。
別の投資家からは、こんな声も。
トランプショックで損失は2億円?
60代の投資家:
ちょっと怖いですね。20万〜30万は簡単に損失は出ていると思う。大きいですよ、1日でですから。

50代の投資家:
(昨日から今日までの損失は)2億円くらい。株やっていればある。しょうがない。ただ人為的なものなので、かき回すのはやめていただきたい。

今回の株価急落の原因は、トランプ政権が打ち出した相互関税。
日本時間の5日から、すべての国や地域を対象に、第1段階として一律10%の関税措置が発動されていた。
そして9日には、日本への関税は24%に引き上げられるという。
日経平均株価は過去3番目の下落幅
この景気が急速に悪化しかねないとの懸念から7日、都内の証券会社には投資家からの問い合わせが相次ぐ事態に…。

電話対応する職員からは「これだけ下がると、ほぼほぼ全面安というところ」、「リーマン・ショックとコロナショックと、今回名前をつけるなら“トランプショック”」などと話す声が聞こえた。
週明けの7日、日経平均株価は一時2900円を超える急落となり、終値も3万1136円58銭と先週末と比べて2600円以上値下がりし、過去3番目の下落幅となった。
トランプショックは海外でも
このトランプショックは日本だけではなく、海外でも広がっている。

週末となった5日には、アメリカだけでなく、カナダやイギリス、フランスなど世界中でトランプ政権への抗議デモが行われた。

そんな中、中国政府は、「アメリカは対等の名目で実際的に覇権を行使して、自国の利己的な利益のために各国の正当な利益を犠牲にし、国際ルールよりも自国を優先している」と、アメリカと同じ数字の追加関税をかける“報復関税”を打ち出した。

世界に影響が出ている状況でも、当のトランプ大統領は「私は何も下落してほしくはないが、時には何かをなおすために薬が必要だ」と主張した。
和牛の輸出にも影響?
さらにトランプショックは、アメリカ市場で人気が年々高まっていた和牛にも影響を及ぼしかねない事態となっている。

赤身にほどよく脂肪の入った霜降りが特徴の茨城県の常陸牛。
常陸牛を含む和牛には、もともと26.4%の関税が課せられていたが、9日には24%を上乗せされ、関税は50.4%に…。
茨城県常陸牛振興協会・谷口勇事務局長:
今年さらにアメリカに向けて輸出できないかなと模索をしていた矢先。ちょっと戸惑っている。(関税が)26%ぐらいだと1kgあたり1万円くらい。さらに上乗せになると、1万2000円とか1万3000円ぐらいに上がる。

アメリカに輸出した2024年度の常陸牛は770kgで、関税が50.4%になれば、200万円ほど追加で関税がかかるおそれがある。
谷口勇事務局長によると、「方向転換をせざるを得なくなるかな。アメリカに輸出しようとする量をカナダに輸出できれば…」とのことだ。
(「イット!」4月7日放送より)