群馬・みなかみ町で、利根川沿いに放置されていた7階建て大型旅館跡を、町が銀行や不動産会社、東大とタッグを組み、商業施設や温浴施設、学生アトリエへ再生する工事が始まった。国の補助金や企業版ふるさと納税で費用を確保し、2028年の開業を目指し、若者や外国人客の呼び込みで温泉街の活気回復を狙う。

廃業旅館跡を活かし温泉街再生へ

関東の大河「利根川」を挟んで多くの旅館が建ち並ぶ、群馬・みなかみ町の「水上温泉」。
関東有数のこの温泉地で今、注目のプロジェクトが進行している。

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「イット!」のカメラは、鍵の掛かったゲートをを抜け、その先へ進んだ。するとそこにあったのは、コンクリートの柱や壁だけが残った建物の残骸だった。

みなかみ町地域創生係・石坂貴夫さん:
この建物は地上7階建ての上は客室、下は宴会場であったり、そういう建物でした。解体減築工事はすべて終わっていて、再生する工事がこれから始まるという状況ですね。

かつてこの場所にあったのは、「一葉亭」という大型旅館だった。しかし資金繰りが悪化し、6年前に閉館したまま放置されていた。
そんな廃虚ホテルを何とかしようと、町は2021年に銀行や不動産会社、そして東京大学とタッグを組み再生プロジェクトをスタートさせた。

みなかみ町地域創生係・石坂貴夫さん:
もともとこの建物がどういう建物で、どういう歴史があるかというところも残しつつ再生をしようとしています。

東京大学大学院の学生が参加も

鍵となるのは建物をすべて解体するのではなく、一部を残して活用することだ。完成予想図には、跡地にホテルや商業施設、温浴施設などの開設が計画されている。

記者:
旧一葉亭の社員寮だった場所では、何か作業されてますね。リフォームしているんでしょうか。

東京大学・大学院生:
自分たちでDIYしながら、アトリエとして使える場所に変えていこうとしています。展示も一緒にして、常設で利用できるようになったらいいなと思います。

社員寮だった建物は、そのまま残してアートの発信地にする予定だという。リフォームしているのは、プロジェクトに参加している東京大学大学院の学生だ。メンバーの中には、群馬県出身の学生もいた。

群馬県出身・東京大学 大学院生:
群馬出身で、高校の時から地元の群馬のまちづくりとかに貢献したいと思っていたのですが、こういうご縁をいただけて嬉しいです。

補助金・ふるさと納税活用し2028年開業目指す

今回の再生プロジェクトでは、国の補助金や企業版のふるさと納税などを活用し、多額の解体費用を賄ったという。プロジェクトで再生できた施設では、外国人観光客などを取り込みたいとしている。

みなかみ町地域創生係・石坂貴夫さん:
今風の若い人であったり、インバウンド(訪日客)の方たちに親しまれるようなものとして再生することで、周辺も活気づくと思います。

地元の料理店の女将:
本当に嬉しいの一言。共にがんばりますって感じ。活性化という言葉だけで生き生きしてきます。

多くの観光地で、廃虚ホテルが大きな社会問題となる中、今回のプロジェクトは成功例としての価値を示せるのか。新たな施設のオープンは、3年後の2028年の予定だ。
(「イット!」4月4日放送より)

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