愛媛県で平成以降として最大規模になった今治市の山林火災は、発生から9日目の3月31日にようやく「鎮圧宣言」が出されました。この山林火災では隣の西条市の寺院で、由緒ある歴史的な建造物が一時、焼失の危機にさらされていて、住職は4月2日に懸命な消火活動への感謝の思いを語りました。
世田薬師・田中誠時住職:
「こんなん、前なんか見えませんよ」
真っ黒に焼けた山肌。山道の向こうには街並みや海が広がります。山道を登りながら話すのは、西条市楠にある世田薬師の田中誠時住職(75)。以前はうっそうと樹木が茂っていたものの、今治市で発生した山林火災が燃え広がって焼け落ち、田中住職も生まれて初めて見る光景が広がっています。
本堂から山道を登り約1キロ先にあるのが、江戸時代初期に建築された昔の本堂「奥之院」です。
田中誠時住職:
「すぐそこが燃えてましたからね」
田中住職は山林火災が発生した翌日の3月24日午前10時頃、「奥之院」を見に行くと、目に留まったのはお堂の右側の斜面に火。通報を受けた市の消防は由緒ある歴史的な建造物を守ろうと24時間体制で消火活動を続け、火は「奥之院」の屋根の角を少し燃やした程度で消し止められました。
火が確認された山肌とお堂の間はわずか約3メートルほど。燃え移らないように木を切り倒すなど、懸命の活動が行われたということです。
田中住職:
「24日の夜は山が火の海になりました。夜中じゅう徹して消防署の職員さん、団員さんたちが、火に囲まれた中で山に水をあげてお堂を守って頂いたんですね。命がけで守って頂いた“奇跡”ですわ」
世田薬師は大切な仏像を設置する本堂を火災から守るため、燃えにくい漆喰で壁を塗り直す工事を始めるなど、新たな防火対策にも取り組んでいます。
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