水ぼうそうウイルスが原因で、「80歳までに3人に1人が発症する」と言われる帯状疱疹。2025年度から国や自治体の対策が大きく進み、ワクチンの定期接種や任意接種の費用補助が広がっている。
「3人に1人が発症」帯状疱疹
帯状疱疹は、体内に潜伏している水ぼうそうと同じウイルスが、加齢や疲労などによる免疫低下で活性化し、痛みを伴う水ぶくれが帯状に現れる皮膚の病気のこと。初期の症状は、体の左右どちらかの神経に沿って生じる皮膚の痛みや違和感、痒みなど。重症化すると失明や顔面麻痺、難聴などの合併症を引き起こす恐れもある。厚生労働省によると、50歳以上の人が特にかかりやすく、80歳までに3人に1人が発症するとされる。

2025年2月、帯状疱疹を発症した福岡市内に住む60代の男性は、「朝、急に右の肋骨あたりがジクジク痛みだし、病院で診察を受けた。薬を飲まないと痛みのとれない状況が10日以上続いた」と話す。「今は、湿疹の痕は残っているが、痒みがあるくらいに治まっている」とのこと。

65歳以上にワクチン「定期接種」
国は、対策として、4月から65歳以上への帯状疱疹ワクチンの定期接種をスタート。これに加え、福岡市は、50歳になった人の「任意接種」についても、費用を半額程度を助成することにしている。

このうち、任意接種については、5年間の経過措置を設け、期間中は、55歳と60歳になった人も助成の対象とする。市の助成により、定期接種と任意接種の自己負担額は、いずれも1回接種する「生ワクチン」の場合は、4900円程度。2回接種する「組換えワクチン」の場合、2回合わせて2万4000円程度に抑えられる。

福岡市西区の「やまもとホームクリニック」。新たな制度を活用して早速、70代の男性が、ワクチン接種に来ていた。男性は、自分の妹が10年くらい前に帯状疱疹にかかったことがあり、3月末に福岡市から『ワクチン接種の案内』が来たので、接種を決めたと語る。

「今までは、帯状疱疹の無料ワクチンや自費の場合の補助など、なかったので、非常にありがたい」と新制度スタートを歓迎している。

「年齢的に高齢の方が帯状疱疹になることが多いが、若い方でも強いストレスがかかったり、何らかの理由で体調が悪いと発症しやすい。元々あるような水ぼうそうのウイルスが、体の中で年齢が経ってから悪さをするのが帯状疱疹。小さな斑点やプツプツができて、痛みや症状が出ると帯状疱疹を疑う」と、山本希治院長は注意を促す。

高齢者は「痛みが長引く」ことも
帯状疱疹がやっかいなのは、症状が長引くこと。高齢者の場合、免疫力の回復に時間がかかるため、皮膚の発疹が治まっても、神経の痛みが半年にわたり長引くこともあるという。

山本院長は、対策として「帯状疱疹のワクチン投与が一番の方法」であり、帯状疱疹が強く疑われる場合は、「必ず医療機関を受診してほしい」と広く呼びかけている。
(テレビ西日本)