2025年は昭和が始まってから100年、戦後80年の節目の年。福井テレビの映像アーカイブから、その時代を振り返る。新年度がスタートした4月1日には各企業などで入社式や辞令交付式が行われたが、昭和と平成の頃の入社式はどんな様子だったのか。また、その時代を生き抜いた人生の先輩たちは、令和の新社会人にどんなエールを送るのか。

◆1970年(昭和45年)集団就職
1970年の国鉄のホームでは、会社名と歓迎の言葉が入ったのぼり旗の周りに次々と集まる若者たちが集まっていた。県内の繊維産業などは、戦後の労働不足を補おうと東北、北海道、九州などから多くの集団就職者を受け入れたのだ。こうした若い世代の集団就職は日本の高度経済成長を支えた。

◆1981年(昭和56年)合同入社式
1981年に開かれた企業の合同入社式では、揃いの制服に身を包んだ新入社員たちの姿が。壇上には「フレッシュマン諸君よ、今、何に精魂を打ち込むのか」「何事にも屈せずチャレンジする気力のみ」といったスローガンが掲げられている。
新入社員たちは「私たちの仕事はお客様が主で信用が大事」「仕事やすべてに対してベストを尽くし、自己主張をできるよう人間作りをしていきたい」などと話していた。

◆1985年(昭和60年)紡績会社の入社式
1985年の紡績会社の入社式でも、並んでいるのはそろいの制服に身を包んだ女性たち。「働きながら高校に行けるようなところが北海道にはないから、福井まで来ました」と話す彼女たちは、中学を卒業した「中卒世代」で。県外から福井の紡績会社へ約50人が集団就職した。

◆1993年(平成5年)バブル崩壊後の入社式
1993年(平成5年)バブル崩壊後、不況の中での「福井銀行」入社式では、当時の経営者が「福井銀行の行員証をつけたり制服を着ると、新入行員とは書いていないので、一人前の行員とお客様は見る」と新入社員を鼓舞。
「セーレン」の入社式では、新入社員の服装がバブル時代を感じさせる。経営者は「どんなことにも耐えうる忍耐力、困難も乗り越える努力をすることを願う」と訓示していた。

“時代を生きた”先輩たちからエール
時代を反映する入社式。福井市内で、人生の先輩方から当時の思い出を聞き、新入社員にエールも送ってもらった。
80代女性:
「一生懸命働いて楽しかった。上司からは好かれて山に行ったり、食事に誘われたりと待遇が良かった。一生懸命働いたからだと思う。常に誘いがあって自分の人生で一番楽しかった。あの時代は忘れられない。若い時代から自分がしようと思うことを一生懸命やることが一番楽しいし、報いが必ずある」
80代男性:
「私はもう86歳になる。終戦も震災もすべて覚えている。震災の時は6歳だった。今の人は幸せだと思う。自分の意志をしっかり持っていてほしい。目的を持つことが一番大事」
80代女性:
「私は新人時代は、戦争が終わったばかりでいい時代ではなかった。銀行でお金を交換したり、小切手に替えたりという仕事だった。今はいい時代ですから自分の目標に向かって頑張っていただきたい」

好きじゃなくて始めた仕事も…
40代女性:
「お金をもらって仕事をすることに対して責任を感じた。どんな仕事でもプロとしてやりなさいと上司に言われたことを覚えている」
60代女性:
「本当は好きじゃない仕事だったが、紹介してもらって入った仕事。紹介してもらった人のために頑張らないといけないと思ったが、周りにいた上司がかわいがってくれて、早く辞めようと思っていたが、もう少し頑張ろうかと。だから新入社員には、仲間を大事にして、いつも笑顔でいたらいい。フジテレビみたいな上司のところにいると大変だから、今はセクハラ、モラハラなど言いたいことが言える時代なんだから、言いたいことを言える強い自分でもあってほしい」

今年度の新入社員の特徴は…
シンクタンクの産労総合研究所によると、2025年度の新入社員の特徴は「変化を呼び込む!新紙幣タイプ」。最新のITリテラシーや知識を身につけていて、将来的に企業や組織に変化を呼び込む可能性も高いという。
一方で、新入社員たちに自身の居場所が「ここだ」と思ってもらえるよう、先輩社員のサポートも欠かせない。
