これまでの南海トラフ地震地震で、震源域の東西どちらかで大きな揺れがあった際、時間差をおいてもう一方でも地震が相次ぐいわゆる「半割れケース」がありました。
今回は「半割れ」の被害想定も公表され先の地震で避難や防災対応に取り組めば後の地震の被害を大幅に減らせるとしています。
南海トラフ巨大地震は時間差で地震が発生する「半割れケース」があるのも特徴です。
1854年に南海トラフの東側が震源となった「安政東海地震」が発生しその30時間後に西側が震源となった「安政南海地震」や1944年の紀伊半島沖を震源とする「昭和東南海地震」が発生しその2年後の1946年に四国沖を震源とする「昭和南海地震」が発生するなど、まだずれ動いていない領域でマグニチュード8クラスの地震が時間差で発生しています。
今回公表された被害想定ではマグニチュード8クラスの地震が西側が震源で先に起きた場合、津波による死者はおよそ6万6000人にのぼり、その後数日の間に東側で同じクラスの地震が起きた場合、さらに7900人が死亡し死者は合計でおよそ7万4000人に上るとしています。
また、先に東側で地震が発生した場合は津波による死者は2万9000人、その後西側で同クラスの地震が起きた場合、さらに1万3000人が犠牲になり合計で4万2000人が死亡すると想定しています。
これは後に発生する地震の前に避難していないことを想定しており、南海トラフ臨時情報など先に発生した地震をきっかけに事前避難を徹底すれば西側が後に発生する地震の場合、後に発生した地震で津波による死者は1万3000人から700人程度に東側が後に発生する地震の場合は7900人から10人にまで大幅に減らせるとしています。
一方で揺れによる家屋の倒壊は先に発生する地震のダメージが蓄積した状態で2回目の地震が発生すると、西側、東側どちらが先に発生しても合計でおよそ128万棟が全壊すると想定しています。
これはそれぞれ単独で発生した場合の合計より3万棟ほど多くなります。
しかし、1回目と2回目の期間が比較的長期に渡った場合など1回目の地震の後に耐震化を進める事で2回目の地震による被害を50万棟以上減らすことができるとしています。
先に来る地震をきっかけに事前避難や防災対応に取り組めばあとにくる地震による被害を大幅に減らせると指摘しています。