まもなく新年度を迎える中、給料アップを期待している方も多いかもしれない。定期昇給や基本給のベースアップといった一般的な賃上げよりも実はお得かもしれない「第3の賃上げ」と呼ばれる福利厚生が注目されている。
ベースアップよりも“福利厚生”で手取り増
2025年の春闘は2年連続で賃上げ率が5%超えとなった。
賃上げあり・30代:
(賃上げ)5000円~1万円くらい。
賃上げなし・20代:
元々の給料は変わらないのに、食材の値段は上がってきてる。結構キツいなって。
賃上げあり・30代:
僕は、4月からで(賃上げ)2万円ぐらい。
様々な声があったが、第一の賃上げは勤続年数や成績による「定期昇給」、第二の賃上げは基本給の「ベースアップ」と言われる。そして、第三の賃上げは、「実質的な手取りを増やす福利厚生」だ。

東京・渋谷区にある、人材サービスなどを手がける企業「アプティ」では、並べられた弁当を社員が次々と手に取っていく。
社員:
福利厚生の一環で、1食100円。めちゃくちゃ重宝してます。
老舗弁当店の1食500円のお弁当だが、会社が400円を負担してくれるため、社員は100円で購入できる。
社員:
コンビニとかで買うってなったら、(100円で)おにぎり1個買えない、今。
社員:
やっぱ野菜食べられるんで、1人暮らしの身にはありがたい。
入社した時から利用しているという社員は…。
社員:
私それ(目当て)で選びました、この会社。福利厚生。100円ランチと無料のお菓子、ドリンク。

仮に1年間、毎食利用すると8万円以上お得になる。さらにランチ代だけではない。
社員:
奨学金の代理返済の福利厚生。全額負担していただいています。会社が肩代わりしてくれてるのは精神的にすごく助けになってる。

奨学金をほぼ全額、代わりに返済してくれるそうだ。
アプティ管理部 渡辺武司部長:
我々としても、できる限り優秀な学生さんにも入っていただきたい。福利厚生はその観点からもすごく重要な手段なのかなと考えています。
奨学金を福利厚生として代理返還している企業は年々増加しているという。
マッサージの無料提供も
一方、保育園を運営する東京・千代田区の「さくらさくみらい」では、休日にも関わらず保育士が出社していた。そのワケは…。
保育士:
とても気持ちが良くて、癒されます。

ここでは、週に1回、希望者に50分間の無料マッサージを提供。回数は無制限だ。通常お店でサービスを受けたら、1時間で約5000円はかかる。
保育士:
(抱っこなど)腕とか肩、腰は結構負担がかかっているのでありがたいです。
また、年に一度、誕生日プレゼントとして1万円分のギフトカードなどが支給される。入社1年目の女性は人気ゲーム機を購入していた。
社員:
運動不足すぎて体が痛くなることが多いので。すごくありがたい。誕生日楽しみになります。
こうした実用的な福利厚生を増やすのには、どんな狙いがあるのか。
さくらさくみらい 西尾義隆代表:
中長期を見据えた形での賃金の改定という風な所はある。一方、福利厚生も少しずつ増やしていくことで、満足度を高めていきたいと思っている。
給料で手当をもらうより実質手取り増
小山内鈴奈キャスター:
お給料アップも嬉しいですが、ランチ代などは毎日“ちりつも”だったりするので、お得感を味わえますよね。
青井実キャスター:
マッサージは、会社にあったら行っちゃいますね。回数も無制限ですし。

小山内鈴奈キャスター:
フジテレビの智田裕一解説副委員長によると、給料でもらうとその金額から税金などが差し引かれるが、食事代、奨学金返還という形で直接もらうと、一定のルールのもとで非課税になる場合があり、給料で手当をもらうより実質手取りが増えるということです。
SPキャスター 山口真由:
福利厚生も大事ですけど、本体の賃上げも重視していかないと、ベースアップは若い世代に偏在的に配分されているので、全ての世代が会社にケアされているという感覚が大事かなと思います。
(「イット!」3月25日放送より)