病気や障害などにより、自宅で医療のケアが必要な子供たち。医学の進歩で救える命が増える一方で、“医療的ケア児”も増えているといい、中には24時間つきっきりでのケアが必要なケースもあります。
そんな中、このような子供たちを支える家族が心にゆとりを持てるよう、医療的ケア児を預けられる施設を立ち上げた女性がいます。
「本当に家で頑張っている」保護者にも心のゆとりを
ニコニコで登園する女の子。朝一番に行うのは、健康チェックです。
看護師が、「バイタルサインを確認してから、活動に移るんです」と教えてくれました。

ここに通うのは、病気や障害などで自宅での医療ケアが必要な子供たち。保育士のほかに、看護師や理学療法士などが常駐する福祉施設「ガブリエル(東京・目黒区)」です。

この施設を立ち上げたのは、松尾由理江さん(49)は、「日本って世界トップレベルで子ども達の命が救われている国。そういった理由から、医療的ケアの必要なお子さんたちは増えています」と話します。
医学の進歩で救える命が増えた中で、退院後も自宅で24時間、医療機器を使ってケアするというケースも増えているそうです。

松尾由理江さん:
唾をごっくんできないお子さんがいらっしゃると、15分おき、30分おきに吸引をしている家族もいらっしゃいます。本当にお父さんお母さん達が家で頑張っているんです。
そこで松尾さんは“お父さんお母さんが心にゆとりを持てるように”と、医療ケアが必要でも子どもを預けられる施設を立ち上げました。
施設に通う子どもの保護者は「本当つきっきりで、発散できるところがなかったんですけど、心の面でもだいぶ楽になったかなと思います」と話す。

松尾さんを突き動かすのは、病を抱えて生まれた、亡き長男への思い。我が子の命を守ろうと懸命に子育てする保護者の姿が人ごとに思えず、4年前からサポートを続けているのです。
松尾由理江さん:
「早く迎えに行かなきゃ」とか「ランチに行っちゃいけない」とか、そういう罪悪感とかはもう一切なしに、預けている間は自由にのびのびして過ごしてもらえたらと思います。

病気で闘う子ども達と、その家族を支える社会が広がりますように。松尾さんの活動はあすも続きます。
(「イット!」2月27日放送より)