北海道新幹線の札幌延伸は、2038年度末以降になる見通しだ。
「開業は2038年度末以降」―難航する“札幌延伸”の背景とは
開業が当初から大幅に遅れることで、道内経済への影響を心配する声が上がっている。
「大きな岩が出たりすごく硬い岩が出て(工事が)難航したところなど、全体工程の精査を行い報告書の案について議論したいと思います」(有識者会議 森地茂 座長)
3月13日、国土交通省が開いた有識者会議。
工事の遅れが報告された。北海道新幹線の新函館北斗・札幌間の開業は、2038年度末以降になる見通しだ。
「38年って嘘でしょうって感じ」(北海道民)
「今22歳で、2038年となると35歳ぐらいになってしまうので、すごく遠い未来のように感じてしまいます」(北海道民)
2030年度末の見通しだった札幌延伸。
なぜここまで遅れてしまうのか。
主な原因は、難航する工事だ。
8割がトンネルを占める札幌までの区間。
ニセコ町と倶知安町の間の「羊蹄トンネル」では、巨大で硬い岩が行く手を阻み、何度も工事が中止になった。

新幹線開通を見越した再開発が進む札幌中心部
また、北斗市と八雲町の間の「渡島トンネル」では、軟弱な地盤の影響で作業が難航し、工期はすでに最大で4年遅れている。
そのため2024年5月、開業時期がいったん白紙となり、2038年度末という見通しが出ているものの、今後工事でトラブルがおきればさらに遅れる可能性もある。
「約1年半前に閉館したエスタはまだ解体すら始まっていません」(池田 大地 記者)
街への影響も心配だ。
札幌市への延伸に合わせて再開発が進められているJR札幌駅前は、エスタやパセオなどの商業施設やバスターミナルが閉鎖され、不便な状況が続いている。

新幹線開業延期が北海道に与える影響について専門家は
「娯楽が少ないかなとは正直思ってます」
「札幌に買い物に来ても半分ないみたいな感覚」(いずれも北海道民)
専門家は、JR札幌駅周辺の再開発への影響を指摘する。
「札幌駅が大通南より売り上げ高い場所として作ってきた価値がなくなる(可能性ある)。新幹線の開業を前提とせず工事を進めたほうがいい」(インフォメーション・システム キャビン 志田真郷さん)
さらに、影響は沿線の他の町にも及びそうだ。
「(沿線の)町の絶望感は相当あると思う。見放された感が加速すると過疎化に追い打ちをかける。今回の『8年延期論』」(志田さん)
北海道南部の八雲町。
郊外に新幹線駅が建設中、町では駅前広場の整備やバスの運行などを検討しているが、中心部は少子高齢化が進み、人通りが少ない状況だ。

「(Q:いつ開業か分からないが?)不安です」(八雲町民)
八雲町長は、まちづくりの考え方を変えなければならないと考えている。
「(延伸延期は)腹立つが、人口の減少や色々なことを考えたら2038年や40年に開業する新幹線の効果を地域活性化、人口を増やすためのものに切り替えるってことに考え方が変わった」(八雲町 岩村 克詔 町長)
