アメリカで行われた高校陸上選手権のリレー競技中に、選手の1人がライバル選手の頭を殴打した。
凶器となったのは、金属製のバトンだった。
殴られた選手は脳しんとうを起こしてレースを離脱、相手選手を暴行などで告訴した。
一方、殴った選手は「わざとじゃない」と釈明している。
“金属製バトン”で前の選手の頭を殴打…
問題の行為があったのは、3月4日。

アメリカ・バージニア州で開催された、高校陸上選手権のリレー競技中でのことだった。

3位につけていた女子選手がスパートをかけ、前の選手を追い抜いた次の瞬間。

抜かれた選手が右手に持っていた金属製のバトンで相手の後頭部を殴打。

殴られた選手は頭を押さえ、コース内側に倒れ込んでしまった。

その後もレースは続行されたが、倒れ込んだ選手は脳しんとうを起こし立つことができず、そのままレースを離脱した。
殴打した選手「わざとではない」
レース中のまさかの事態に、ショックを隠し切れない様子だ。

バトンで頭を殴打された、ケイレン・タッカー選手は「彼女がバトンで私を殴りました。バトンで頭を殴打された。頭に衝撃を感じた直後、コースを外れたの…」と話す。

この衝撃的なレースの動画がSNSで拡散される中、殴った女子選手は、暴行と傷害罪で告訴された。
しかし本人は、「故意に殴ったのではなく、バランスを崩しバトンが当たった」と主張している。

バトンで殴打した、アライラ・エバレット選手:
腕を振り下ろしたところに彼女が入ってきたので、バトンが当たってしまいました。バトンが当たってしまったのは悪かったと思っているが、わざとではない。
「スポーツマンシップから外れる」危険行為
物議を醸す“ライバル選手バトン殴打事件”。

レース中に金属製のバトンで頭を殴られた場合、選手は、どれだけの衝撃を受けるのだろうか。

大会などで使われる金属製のバトンは非常に軽いが、床に落としてみると、大きな音が鳴り、強い衝撃があるのが分かる。
3大会連続で、オリンピックの4×400メートルリレーに出場した、日本陸上界のレジェンド高野進さんは、バトン殴打の危険性をこう指摘している。

元オリンピック選手・高野進さん:
疲労がたまってきているところに、さらにダメージでバランスを崩すので、やっぱりバトンも金属で固いのでダメージはあると思う。

高野さんは、「バランスを崩して手を広げたりしても、そこから頭にダメージを与えるほどの勢いで降り戻すことはない。考えにくい」といい、さらに、危険であるだけでなく、今回の行為は「スポーツマンシップから外れる。それ以前の問題」としている。
(「イット!」3月14日放送より)