2025年春、ラグビーの本山佳龍選手が長崎南山高校を卒業した。中学までは「ラグビー」と「相撲」の二刀流だった本山選手は大学ラグビーを経ず、いきなりトップチームと契約。4月からは、「プロ」と「大学生」の二刀流に挑戦する。

相撲部屋からスカウトも 相撲からラグビーへ

卒業式の日、にこやかな表情で入場するのは本山佳龍(けいたつ)選手だ。

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2025年3月1日、中学部から高等部までの6年間、ラグビー漬けの日々を過ごした長崎南山に別れを告げた。

本山佳龍選手:4月から新たなスタートを切るのでワクワク感だったり。でも3年間一緒にやってきた友達やクラスメートと離れるのが寂しい

身長188センチ、体重は114キロと恵まれた体格の本山選手。(本人談)

高校2年で全国高校ラグビー=花園に出場したほか、17歳以下、さらには素質を見込まれ、19歳以下の日本代表にも選ばれた。本山選手は東彼杵郡川棚町の出身。小学校2年で大村ラグビースクールに通い始めた。

本山佳龍選手:小学校の時から体が大きかった。そこを生かせるところがなかなかなくて、ラグビーだと相手を思いっきり吹っ飛ばしてもいいですし、自分の強みを出せるのでラグビーを選んだ

4年生で始めた「相撲」でも頭角を現し、小学生で「九州チャンピオン」、中学生でも全国大会に出場した。中学卒業時には相撲部屋からも声がかかったという。本山選手は「ラグビーと相撲だと似ている部分もあるし、そこで強くなれる部分もあるので(相撲関係のスカウトを)断ってラグビーの方が好きなのでラグビーの道を選んだ」と話す。

規格外の体格を活かしたコンタクトプレーが強み

本山選手は最前線で相手と直接組み合う「プロップ」と呼ばれるポジションだ。体の大きさと足腰の強さを生かしボールを持って前に運ぶ「ボールキャリー」に定評がある。

長崎南山 久保田一平監督:規格外の体なのでコンタクトプレーが彼の1番強み。素直で研究熱心なところが彼の良いところかなと思う

桜のジャージを着るために

本山選手が契約を結んだ「静岡ブルーレヴズ」は、日本最高峰のトップリーグ「リーグワン」1部に所属するチームだ。大学ラグビーを経ず、リーグワンに挑む高卒の選手はこれまであまり例がない。

静岡ブルーレヴズ広報 笠原翼さん:我々静岡ブルーレヴズはチームの文化、カルチャーとして選手を育てることに力を入れていることを自負している。将来、日本のラグビーを背負って立つような選手になってほしい

本山選手は大学のラグビーを経ずにいきなりレブズに入る選択をしたことについて、次のように話す。

本山佳龍選手:自分の目標は桜のジャージを着て日本代表としてワールドカップに出るという部分なので、桜のジャージを早く着るためにはリーグワンという日本トップレベルの試合や練習を経験した上での自分のプロでやっている4年間と、大学での4年間は違うと思うので。フィジカルの差だったり体での差、自分より小さくて軽い人でも 筋量の違いでやられる部分があった。そういう部分も4月から経験できる楽しみや自分が成長できる楽しみもある

卒業式の日、クラスメートの前で得意の一発芸を披露する本山選手。愛されキャラの本山選手は4月から静岡産業大学スポーツ科学部にも入学し、プロと大学生を両立させながら教員免許取得を目指す。

同級生から見た本山選手は「いつも元気があって、筋肉の話をいつもしている」という印象で「将来日本代表になれると思う。頑張ってほしい」とエールを送る。

同窓会などで再会した時にどんな姿を見せたいかという質問に対して本山選手は「逆に代表とかチームの活動で同窓会に行けないくらいの選手になって、それくらい頑張りたい」と意気込みを語った。

将来を見据えた「食」への意識も

6年間、毎朝6時18分発の電車に乗り、東彼・川棚町から長崎市まで通学した息子の門出に両親もエールを送る。

父・健一郎さんは「ブルーレヴズの試合に早く出られるように頑張ってくれることが一番の親孝行だと思うので」とプロの第一線で活躍する息子の姿に期待を寄せる。高校時代、後半は弁当の準備も自分でしていたそうで「体づくりの面でも自分で食事管理をしたり、そういう面では自分がやってました」と、ラガーマンとしての将来を見据え「食」にも高い意識も持っていることが伺える。

本山選手は“将来の目標”を明確に定めている。ラグビーボールにその決意を書いてもらった。

「目標はラグビー日本代表100キャップ。ラグビー日本代表で100キャップしてワールドカップに出場して長崎の人も 長崎のラグビー人口だったり全国的なラグビー人口も自分のプレーで増えたらいいなと思いますし、チームの静岡ブルーレヴズの優勝にも貢献できたらと思います」と決意を語った。

プロと学業の“二刀流”というラグビー界異例の高みに挑む本山選手。

生まれ育った長崎を離れ新天地での活躍を誓う。本山選手はまずは、目標の日本代表100キャップに向け、2年後にオーストラリアで開かれるラグビーワールドカップ2027で日本代表入りを目指す。

(テレビ長崎)

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