石破首相は、東日本大震災から14年を迎えた3月11日、福島県を訪問した。
石破首相は、視察や追悼祈念式典の後、まずは「被災者、ご家族の皆様に哀悼の誠を捧げたい」と述べた。
その上で、「地震、津波、被災地域ではハード整備は進んでいるが、心のケアなど中長期的な対応が必要な課題もあり、必要な支援に取り組む。また、原子力災害被災地域では、いまだ帰還困難地域もある、地域によって様々できめ細かく対応していく」と述べた。
第二期復興再生期間の次の5年間については「帰還、移住の促進、産業、生業の再生などを一層進めて、廃炉や除去土壌などの最終処分の実現に向けた道筋を付ける極めて重要な期間だ、これまで以上に力強く復興施策は推進する。夏までに復興の基本方針の見直しを行う」と強調した。
さらに「福島県、あるいは市町村が進める復興の事業について十分に財源を確保して、次の5年間の全体事業規模は、今の5年間を十分に超えるものにしたい」との方針を示した。
福島の訪問に際し、石破首相は福島市内のロボット製造企業の研究開発拠点の視察や、イノベーション創出に取り組む経営者との対話などを行った。
こうした視察を経て石破首相は
①各地にイノベーション拠点を整備してスタートアップや成長企業の集結を促す、新たな産業創成
②社会課題から新たな製品サービスを生み出すため、規制制度改革や新地方創生交付金の活用、新技術の社会実装に向けたマッチング支援
③高付加価値型の産業需要を創出するため、農林水産業、デジタルなどの新技術を活用した経営、産業の高度化支援
④若者や女性をはじめとした人材の確保定着が重要。副業などの支援をする
と具体案を示した。
その上で、地方創生イノベーション構想の関係省庁会議を立ち上げる方針を新たに示した。
一方で、東京電力福島第一原発の廃炉に向けては「燃料デブリの段階的な取り出しの規模拡大は、廃炉作業全体にいかされるもので、世界に前例のない、技術的にも極めて難度の高い作業だが、本格的な廃炉作業を迎える中で、一部に遅れはあるが、全体の工程に大きな支障は生じていない、国が前面に立って安全確保を最優先し、ロードマップにのっとり着実に実行する」と述べた。