3月11日に行われた長野県の公立高校の後期選抜試験には約8500人の受験生が挑んだ。
進学塾によると、全体として平均点はここ数年、上昇傾向にあり、「記述力」向上が得点アップにつながっているとしている。
国語の総評
進学塾「ベルーフアカデミー」講師の宮下淳弥さんによる国語の総評。
「今年度は、全体として問題傾向が変わらず、昨年度同様の難易度だったと言えます。ただ、長野県の国語の問題は文章量が多いため、読解はトレーニングのように定期的に様々なジャンルの文章を読んでいくことが大切です。
また、記述問題の配点も高いため、こちらも書く練習を行い、模範解答と読み比べる、先生に添削していただくなど、使える記述の形式を身に付けていくことも必要です」

数学の総評
進学塾「ベルーフアカデミー」講師の坪根剛さんによる数学の総評。
「全体的な傾向としては昨年までとあまり変わらず、半分以上が基本問題で構成されていました。ただ、科目融合型の問題や思考力、読解力を必要とする問題が増加しました。大問1から3までの問題は、そこまで難易度としては高くなく、正答率も上がるのではないでしょうか。
ただ、【問4Ⅱ】の問題は難易度が高く、正答率も低いと思われます。数学では例年このような応用問題が数問出題されていますが、トップ校を目指す生徒さんにはぜひ正解してもらいたい問題です。
全体の難易度については、全体では昨年度と変わらないか、やや易化傾向にあると考えます。
数学でも読解力が必要とされており、単純な解き方の暗記ではなく、文章や資料の中から正しく情報を読み取り立式する練習をしていかなければなりません。来年度以降受験を迎える皆さんは、他の都道府県の過去問などを用いて思考力型の問題にも慣れていきましょう。」


社会の総評
進学塾「ベルーフアカデミー」講師の實方啓樹さんによる社会の総評。
「全体的な傾向としては、昨年に続き記号選択問題が多く、正しい知識の理解をもとに、いかに正確に選ぶことができたかがポイントです。また、どの分野も例年と同じくらいか、それよりも易しくなっている印象があるので時間はあまりかからなかったと思われます。
資料の読み取りや記述の問題は多いですが、しっかりと準備した受験生の中では差がつきにくく、正しい知識を持っていることが有利に働きます。
中学2年生以下の皆さんは今のうちに教科書を読み込んだり、ワークの演習に励むことで用語の意味の確認をして、各単元ごとにしっかりと復習をする習慣をつけていきましょう。
単純な語句の暗記にとどまらず、事象ごとの因果関係やつながりの理解にも努めましょう」

理科の総評
進学塾「ベルーフアカデミー」講師の丸山恭平さんによる理科の総評。
「全体的な傾向としては大問が4つのままの出題となりました。昨年度に比べ計算問題が増加しました。昨年度に比べ約2倍の29点分の出題となりました。
計算問題では、比例などの関係から求めた数値が何を表しているのかを確認してほしいです。答えを求めるためには複数回の計算が必要なこともあります。
また、選択肢から全て選ぶ問題も多く出題されました。正しい知識をきちんと覚えておく必要があります。ここ数年は毎年増加していますので、日頃から学校の進度に合わせて教科書を読むなどして対策してほしいです」

英語の総評
進学塾「ベルーフアカデミー」講師の鈴木崇仁さんによる英語の総評。
「今年の傾向は、全体として昨年度と比べて大きな変更はなかったと思われます。難易度は一部を除きやや解きやすい問題でした。英語の学習の基本である音読を大切にして、読む・聞く・書くことをバランスよく学習したいですね。
英文を読解するスピードですが、標準的な受験生の場合、1分間に約50語~70語と言われています。このスピードでは試験時間内に英文すべてを読んで理解することは不可能です。読むスピードを上げることで、時間的な余裕を作る必要があります。これから受験生となる中学2年生の皆さんは、次の夏休みまでに、英語の教科書以外の英文、およそ200語~300語程度の語数のものを毎日読み、単語力・文法力をつけていくことで、英語は高得点を取ることができます。ぜひ、挑戦してみてください。
大学進学者の多い高校へ進学する皆さんにとっては、英語は最も大切が科目の一つです。1日10分・15分でもよいので英語を勉強しましょう」

進学塾「ベルーフアカデミー」の吉田司さんによる総評とアドバイス
【総評】「まず全体の傾向として、平均点はここ数年、再び上昇傾向がみられます。思考力を問うような出題が続いていますが、そちらへの対応ができるようになってきたことが理由の一つではないかと思います。英語・社会の記述力向上が得点アップにつながっている思います。
初見の資料を読み取る問題が各科目で出題されます。ただ慌てることなく、知識の点と点をつないで問題と向き合えば、ゴールに辿り着けるはずです」
【アドバイス】「長野県の入試問題は分野が独立した出題が少なく、大問の中にいろいろな分野が詰め込まれる傾向にあります。暗記に偏らず、記述力についても意識をしてください。何を聞かれて何を答えるのか、ここを把握するのが苦手な受験生がみられます。
教科書を用いた基礎学習を怠らず、中1のころから準備をしていきましょう。1週間ごと、1カ月ごとに学習状況を自らチェックするとよいです。
定期テストや総合テスト、公開模擬試験などを通じて、自分の得意と不得意を把握しておきましょう。解きなおしまで行うことで、実力がアップしていくことでしょう」
(長野放送)