トラブルの相談が増加している美容医療について、厚生労働省は初となる特設サイトを開設した。今国会には、クリニックに対し安全管理の状況について定期報告を義務づける法案を提出し、対策を強化したい考えだ。
美容医療をめぐっては、施術後のやけどや契約の解約・返金など、国民生活センターに寄せられた相談が、2023年には5507件に上り、2018年と比べ3倍以上に増えている。
こうした状況を受け、厚労省は去年、検討会を立ち上げ、美容外科学会などの有識者とともに対策を議論し、報告書をまとめた。
患者の相談窓口あるか…クリニックに報告義務付け
報告書では、美容医療を行うクリニックに対して安全管理の状況を年に1回、自治体に報告させ、自治体が必要な情報を公表することを検討すべきとしている。

具体的には、施術後問題が起きた時に患者が相談できる連絡先があるかや、医師の専門医資格の有無などの報告内容が想定される。
厚労省は、これらの措置を義務づけるため、今国会に医療法を改正する法案を提出した。
法案が成立すれば、公布後2年以内をめどに施行される。
医師がアフターケア応じない事も
また、厚労省は2月21日、美容医療について注意喚起する特設サイトを初めて開設した。
サイトでは、安全性が確認されていない治療法による副作用や術後の相談をしても医師がアフターケアに対応しないなどのトラブル事例を紹介し、各種相談窓口を案内している。

さらに、インスタグラムのアカウントも開設し、美容医療に興味を持つターゲット層に向け、注意を促す広告が表示されるようにした。
これらの対策強化について厚労省は「今後、関係学会などと連携しつつ合併症やアフターケア対応のあり方を盛り込んだガイドライン策定に取り組む予定で、国民が安全安心な医療を受けることが出来るよう、周知啓発を行っていきたい」としている。
【執筆:フジテレビ社会部記者 中澤しーしー】