大阪府枚方市で去年、当時19歳の女子大学生を殺害した罪などに問われている、無職の西光勝被告(27)に対し、大阪地方裁判所は検察の求刑通り、懲役22年の判決を言い渡した。

判決では、「動機は身勝手極まりない」と指摘したほか、被告側が裁判で「犯行後に自殺するつもりだった」と主張していた一方、「犯行後にホテルで性的サービスを利用していた」と述べ、「本気で自殺を考えたことはなかったと判断せざるを得ない」と指摘した。

■当時19歳の女子大学生を包丁で複数回刺して殺害した罪などに問われる

西光被告は去年5月、大阪府枚方市のマンションで関西外国語大学2年生の渡辺華蓮さん(当時19歳)を包丁で複数回刺して殺害した罪などに問われている。

裁判で西光被告は「一切間違いありません」と起訴内容を認めていた。

中学時代の西光被告
中学時代の西光被告
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■「嘘がばれるのに耐えらねないという見栄やプライドのため身勝手に命を奪った」

判決の中で大阪地裁は、「被告は1カ月以上前に包丁を購入し、犯行前には『刺されたら死ぬ場所』『刺されたら声は出るのか』などとインターネットで検索し犯行に及んだことなどから、一定の計画性が認められる」と指摘。

さらに「真実は無職で多額の負債を抱えているにもかかわらず、高額の収入があるように装って、交際してからは同棲するためのタワーマンションを契約するなどの嘘をついたりするなど虚飾に満ちた生活を送っていた。 被害者に嘘がばれることは耐えらねないとして、殺害するに至っている。見栄やプライドのために被害者の命を奪うという動機は身勝手極まりなく、強い非難に値する」と言及した。

送検される西光被告(去年)
送検される西光被告(去年)

■「自殺するつもり」も「ホテルで性的サービス 自殺を考えたことはなかったと判断せざるを得ない」

そして、西光被告が裁判の中で、「犯行後に自殺するつもりだった」と主張したことについては、次のように指摘した。

【判決より】

「自殺するつもりだったというが、犯行後、被害者のパソコンを初期化して売却して現金化し、飲食店で飲食し、本気で自殺しようとする者の行動とは考えられない。また、飛び降り自殺のために行ったというホテルで性的サービスを受けたりもしていた。結局、一度も本気で自殺を考えたことはなかったと判断せざるを得ない」

■「被害者が1人の殺人事件としては、最も刑事責任が重い部類」懲役22年の判決

さらに弁護側が「自首が成立する」と主張していたことについても、次のように判断した。

【判決より】

「弁護人は自首したことを刑の重さを考えるに当たって考慮すべきと主張するが、被告はと、被害者から一緒に死にたいと言われた旨のメモを準備しており、捜査を誤らせる危険があったもので、自首に該当するか疑問がある」

「犯行を申告した行為を有利に考慮することはできない」

また「被害者が1人の殺人事件としては、最も刑事責任が重い部類」などと指摘して、検察の求刑通り、懲役22年の判決を言い渡した。

大阪地裁
大阪地裁

■遺族が涙ながらに意見陳述「娘の今までの努力や人生を奪い、私たちが娘の成長とともに得るはずだった喜びを奪いました」

裁判では、被害者参加制度を利用した、被害者の家族が涙ながらに意見陳述していた。

【被害者の父】「家族は一生この悲しみを背負っていきます。娘の今までの努力や人生を奪い、私たちが 娘の成長とともに得るはずだった喜びを奪いました。 あんなにたくさんの刺し傷(※腹や首などに64カ所の傷)どんなに痛かったか、苦しかったか、考えるだけで、胸が苦しくて握りつぶされる思いです。死刑を求めます」

【被害者の母】「華蓮は、家族のことが大好きでとっても優しい子。 目の前で死のうとする被告に、すべてを犠牲にして寄り添っていた。 あの子はただただ、信じていた人を守ろうとしていただけ。 被告には一瞬たりとも華蓮を思い出してほしくないです」

【被害者の弟】「華蓮が頑張っているから、僕も頑張ろうと思える目標の人だった。 被告は裁判で『やり直したい』と言っていたが、やり直せると思わないでほしい。 僕は被告を一生許しません」

■検察側「懲役22年求刑」弁護側「懲役20年が相当」

裁判で検察側は、「犯行は計画的で強固な殺意に基づく残忍なもの。とてつもない恐怖と苦しみを与えた上で、夢や未来、希望を一方的に奪った」などと指摘し、懲役22年を求刑。

一方、弁護側は「被告は謝罪、贖罪(しょくざい)の気持ちを持っていて、自首も成立している」などとして、「懲役20年が相当」と主張していた。

■被告は泣きながら謝罪の言葉述べる

西光被告は、判決前の最後の公判で、裁判長から最後に言いたいことがあるか聞かれると、泣きながら、「私はどんな刑でも一切控訴せず、一生償っていきます。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪していました。

西光被告の法廷内イラスト

(関西テレビ 2025年2月28日)

関西テレビ
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