キユーピーマヨネーズの誕生100周年記念イベントが東京・六本木で3月2日まで開催された。7月まで全国6つの都市で開催されるこのイベントでは、海外スタッフの案も元に選んだ100品目から、投票で選ばれた計30品が食べられる。既に世界で高まる日本のマヨネーズ人気が、現地化と日本化の戦略によってさらに広がることが期待される。
世界の料理に合う濃厚マヨネーズの魅力を体験
マヨネーズ好きには、たまらないイベントが開催された。

18世紀半ばに、地中海のメノルカ島で誕生したと言われる「マヨネーズ」。そして、1925年3月、日本で初めてマヨネーズが製造・販売された。

2025年は、キユーピーマヨネーズ誕生100周年だ。それを記念して、世界のマヨネーズ料理が楽しめるイベント「World Mayo Kitchen(ワールドマヨキッチン)」が、東京・六本木で2月28日から開催された。

Q.お味は?
参加者:
おいしい。

キユーピーマヨネーズは、現在79の国と地域で販売されている。海外スタッフの案も元に選んだ100品目から、投票で選ばれた計30品が食べられる。

砂川萌々菜記者:
こちら中南米で食べられているタンピコソースというお料理だそうです。青唐辛子がかなりスパイシーなんですが、キユーピーマヨネーズのまろやかさとすごくマッチしています。

日本のマヨネーズは世界で人気が高まっていて、2023年の輸出額は約89億2000万円と右肩上がりだ(財務省「貿易統計」より)。

またキユーピーでは、2016年度には全体の3割に満たなかった海外での売り上げが、2024年度には国内売り上げが591億円、海外売り上げが480億円と、今では半分に迫ろうとしている(出典:2024年度決済短信)。
イギリス出身で、最近オーストラリアにも住んでいたという男性はこう話す。
Q. イギリスのマヨネーズとキユーピーマヨネーズの違いは?
イギリス出身・オーストラリア居住経験あり:
ちょっと違うね。キユーピーはたぶん甘いです。オーストラリアでキユーピーはポピュラーで、主要なスーパーマーケットで売っている。オーストラリアでは今、日本の文化がとても人気です。
キユーピーマヨネーズが、世界で受け入れられる理由は何なのだろうか。

キユーピー・髙宮満 社長:
世界各国にマヨネーズがあります。私たちのマヨネーズは卵黄を使っていて、その量もたっぷりなんですね。他のマヨネーズと違ったおいしさ・特徴を持っています。濃いマヨネーズなので、いろんな料理と合わせたときに主張はしないけど、おいしさがアップする。これがいろんな料理と相性が良いんです。

2025年、インドネシア・タイ・アメリカで新たな工場を稼働させるという。そうした中で新しい味との出会いにも期待しているようだ。

キユーピー・髙宮満 社長:
今、お客様は私たち自身が知らない使い方、知らないおいしさを、恐らく色々な国の色々な場所で実践されている。我々がそれと出会うことで膨らみも出るし、新たな情報を別のお客様に発信できる。

キユーピーが100年間で出会った味を堪能できるこのイベントは、3月2日まで東京で行われた後、7月まで全国6つの都市で開催される。
卵黄のみの独自製法と品質で人気を確立
「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんに話を聞いた。
海老原優香キャスター:
日本だけでなく、海外の方にも人気なんですね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
この人気の秘訣は、味と食感の良さにあります。その背景には、海外の競合他社は全卵を原料に使うことが主流なのに対して、キューピーのマヨネーズは卵黄のみを原料にするといった独自のこだわりが、味やコクの旨さを引き立ててるんだと思います。
創業以来100年にわたって、日本の食文化と向き合い続け、そこで磨いた独自の強みが海外からも評価されている証しだと思います。
実際、輸出も伸びているんですが、特に7年間で単価が1.4倍伸びていることは、ある意味、品質の評価の表れだと思います。
海老原キャスター:
その人気をさらに高めていくには、何が必要なんでしょうか。
デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
こういった独自の強みを軸にしながらも、マヨネーズの体験機会を現地化と日本化、この両極に広げる「両極化戦略」に可能性があると見ています。
まず現地化においては、卵黄のみを使うという強みを軸にしながらも、その成分や風味、製造方法を現地の食文化に適した形で変えていくことに、かなり伸びる余地があると思います。
実際、タイでは辛い味が人気という食文化を念頭に、チリソースと合うマヨネーズを開発したところ、一気に人気商品になったというエピソードもあります。
日本での体験を現地の需要拡大につなげる
海老原キャスター:
そして、2つ目の日本化というのはどういうことでしょう。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
日本食を通じてマヨネーズに良さを知ってもらうことを日本化と呼んでいるんですけれども、特に私が注目しているのは、インバウンドのアウトバウンド化なんです。
インバウンドで日本に訪れた観光客を、日本食を通じてマヨネーズの良さを体験してもらい、その方々が現地に帰った後も、積極的にマヨネーズを消費してもらうといったアウトバウンドの需要につなげていくことを、後押しする施策は重要になってくると思います。
ある都内の施設は、マヨネーズの食べ比べだけではなく、その製造方法や歴史も合わせて体験してもらう機会を提供したところ、海外の方にかなり人気を博したというエピソードもあります。
こういった体験機会というのは、自国に帰った後も積極的にマヨネーズを好きで広げてくれるコアユーザーを作るという意味で有効だと思います。
独自の強みを軸にしながらも、体験機会を両極に広げる。それによって日本の味の良さを世界に広げるといった展開に期待したいと思います。
海老原キャスター:
マヨネーズはJAXAから初めて、国内で製造された「宇宙飛行士が食べる日本食」として認証された食品のひとつです。これからも、より一層世界中の食文化に浸透していきそうですね。
(「Live News α」2月28日放送分より)