2024年の出生数が、9年連続で減少し、統計開始以来最も少なくなったことが分かった。一方で、死亡者数は161万人を超え、結婚・離婚の件数にも変化が見られた。 専門家は、人口減少に対応するため「子育て支援の充実」と「人口減少時代の幸福論の確立」の2つの道があると指摘する。

2024年の出生数が統計開始以来最少に

2024年に生まれた赤ちゃんの数が9年連続で減少し、統計開始以降、最も少なくなった。

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厚生労働省によると、2024年に生まれた赤ちゃんの数は、外国人なども含めた速報値で、前年よりも3万7643人減って、72万988人だった。出生数が減少するのは9年連続で、統計を取り始めて以降、最も少なくなった。

一方、2024年の死亡数は161万8684人で4年連続で増加し、過去最多となった。

また、2024年の結婚件数は49万9999組で、前の年より1万組以上増えたものの、戦後2番目に少なくなっている。

2024年の離婚の件数は、18万9952組で増加した。

人口増減がもたらす課題と時代で変わる懸念

「Live News α」では、コミュニティデザイナーで、studio-L代表の山崎亮さんに話を聞いた。    

堤礼実キャスター:
毎年、新生児が減っている、これは考えなくてはならない問題ですよね。

コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
今、人口減少が懸念されていますが、50年前は人口増加が解決すべき課題でした。政府は「子どもは3人までにしたらどうですか」と呼び掛けていたこともあるんです。

食糧難や居住地不足が懸念され、それらを確保しようとすると、山林を開発して、自然破壊しなくてはならない。あるいは、人口が増えると廃棄物も増えたり、エネルギーの消費も増えてしまいます。

人口抑制策の成果が出してきたのか、1995年頃から人口減少が懸念されるようになりました。

堤キャスター:
人口の減少には、様々な懸念がありますよね。

コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
国内需要が減って、企業の売上が下がってしまい、経済大国であり続けることはできないのではないかとか、税収が減ってしまい、これまでのような行政サービスは受けられないのでないか、街から賑わいがなくなってしまうのではないか、こうした懸念に対して、考えられる道は2つあるかなと思います。

新しい価値観で「縮充」の暮らしが問われる時代へ

堤キャスター:
その2つとは、どういうものなんでしょうか。

コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
1つは、子育て支援を充実をするという環境整備によって、人口増加を願いつつ、増えすぎないように制御していくという道です。 

環境に負荷を掛けすぎないような方法を探っていく必要があります。この点については、最近の開発途上国に手本となる事例が見つかるように思います。

堤キャスター:
もう1つについては、いかがでしょうか。

コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
これまでとは違う値観や仕組みを生み出して、人口減少時代の幸福論を発明するという道です。日本における都市部以外の地域に、手本となる事例が見られると思います。

それは、「縮充」という繊維に関する言葉があるのですが、ウールのセーターやマフラーをイメージしていて、繊維がぎゅっと詰まっているから暖かい。同じように、街に元気がある地域では、人の数は縮みながらも、暮らしの充実を図る「縮充」状態が多いように感じます。

これからは日本のサイズにあった「縮充」という衣装を、仕立て直す方法を考える必要があるのではないかなと思います。

堤キャスター:
子どもが生まれ、育つのは、未来のために大切なことです。ただ、子どもを持つことに経済面など、様々な不安が大きいという方がいるのも事実です。子どもを望む夫婦への支援を増やすなど、もっと、出来ることがあるように思います。
(「Live News α」2月27日放送分より)

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