各地に大雪をもたらしている強烈な寒波の影響で、イチゴの生育にも影響がでています。三重県いなべ市のイチゴ農園では、今シーズンのイチゴ狩りのスタートが1カ月遅れたほか、寒さ対策によりコスト増加に悩まされています。
■寒さでなかなか育たない…「イチゴ狩り」に異変
三重県いなべ市の農園「いちご園ニコニコファーム」では、2025年2月からイチゴ狩りが始まりました。例年は1月から楽しめますが、今シーズンはイチゴの成長が遅れ、1カ月遅れのスタートとなりました。

毎年、この農園に来るという常連客は、ある変化に気づいていました。
イチゴ狩りに来た人A:
去年に比べると、並んでいるところに真っ赤なイチゴがちょっと少ないのかなと思います。
イチゴ狩りに来た人B:
元々遅れていると言われていて、もしかしたら今日もイチゴ狩りができないかもしれないと聞いていたので。農家さん大変だなって。
強烈な寒波が、イチゴ狩りにも影響を与えています。
いちご園ニコニコファームの新山英洋代表:
今シーズンは11月中も暑くて、いきなり12月に気温がグッと下がった。そうすると土の温度がグッと下がってしまった。イチゴは6度以下に長い間さらされると、休眠状態になって、温度が低くなって冷害が生じるんですけど。

イチゴは6度以下の状態が続くと光合成ができず、苗が休眠状態になってしまうといいます。温度が下がらないよう、暖房機を使って、8〜9度に保っていますが、暖房の燃料費は、例年のおよそ2倍になりました。

いちご園ニコニコファームの新山英洋代表:
(例年は重油が)大体6000リットルぐらい、今年みたいに寒波が長引くとプラス4000リットル、重油だけでも1.5~2倍近くコストがかかっております。雪が積もると成長に必要な光合成が遮られてしまう。ハチは光がないと飛びませんので、ハチの受粉がうまくいかないと、形の悪いイチゴになってしまう。
燃料費の高騰などを受けて、今シーズンはイチゴ狩りの料金を、大人は200円、子供は100円値上げしました。
生育が遅れているイチゴですが、ゆっくり育つことで“いいこと”もあるといいます。

いちご園ニコニコファームの新山英洋代表:
通常1週間で熟すところが、寒い影響で10日くらいかかったりする。でも時間をかけて熟すことになりますので、例年に比べてイチゴも大きいですし、甘みものっているかと思いますので、たくさん食べていただければと思います。
■イチゴ高値の一因に…重油の"補助金縮小"も

イチゴの卸売価格は、クリスマスケーキの需要が高まる12月も含めて、今シーズンは平年より高値で推移しています。
高値の原因の1つにあげられているのが、ハウスを暖める重油の使用量が増えていることです。その重油の価格も上がっています。
2024年12月と2025年1月にガソリンの補助金が段階的に縮小されましたが、ガソリンとともに重油の補助金も縮小され、使用量の増加と価格の高騰の両面で、コストが上昇しています。
(東海テレビ)