重度の障害があり、全介助が必要な20代女性に対し、性的暴行をした罪などに問われている元介護職員の男の裁判が新潟地裁で開かれている。2月18日は被告人質問が行われ、男が犯行に至った身勝手な動機や被害女性への思いなどについて語った。

元介護職員の男 全介助必要な女性に淫らな行為など

準強制わいせつ、準強制性交等未遂、準強制性交等、不同意性交等、性的姿態等撮影、不同意性交等致傷の6つの罪に問われているのは、新潟市南区に住む元介護職員の細海敏也被告(44)だ。

元介護職員 細海敏也 被告
元介護職員 細海敏也 被告
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起訴状などによると、細海被告は2019年から約4年半の間、重度の障害があり、全介助が必要で抵抗ができない20代女性に対して、デイサービスの送迎時に自家用車を三条市内のパチンコ店の駐車場に止め、その車内でわいせつな行為や淫らな行為を繰り返し、またケガを負わせ、その行為を動画撮影した罪などに問われている。

2月17日の初公判で起訴内容についての認否を問われ「間違いありません」と答えた細海被告。

今回の裁判では、細海被告が警察に自首した2023年12月14日の事件以外の事実について自首が成立するか否かと量刑が争点になっている。

被告人質問 犯行に至った身勝手な動機

2月18日は被告人質問が行われた。

新潟地裁
新潟地裁

スーツに身を包み、うつむいた表情で証言台に立った細海被告。弁護人が事件の経緯について質す。

弁護人:
事件として罪となっているのは2019年から5年だが、いつからわいせつな行為を行っていたか?

細海被告:
2018年秋以降くらい。

こう述べ、立件された事件の1年前からわいせつな行為を行っていたと明かした。

弁護人:
なぜ、このような行為に至ったのか?

細海被告:
自分の性的欲求と女性の身体に興味があった。

弁護人:
当時、どう考えていたか?

細海被告:
悪いことをしてしまったと考えていた。犯罪としてもそうですし、被害者に対しても悪いことをしてしまった。

また、行為がエスカレートしていったことについては「発覚しなかったという悪い成功体験のせい」とした。

弁護人:
行為をやめられなかった理由は?

細海被告:
自分の欲を満たしたかった、利己的だった。被害者に対して、犯行直後は申し訳ない気持ちになった。被害者家族に対しては騙すようになってしまったことを申し訳ない。

弁護人:
(犯行に)自家用車を使用した?

細海被告:
はい。

弁護人:
送迎用の施設の車を使わなかったのはなぜ?

細海被告:
車いす専用車が限られていた。車の運転がそこまでうまくなかったから自分の車を使った。

弁護人:
動画を撮影した理由は?

細海被告:
あとで見返して自分で楽しむため。

こう話し、行為後に動画を編集していたことも明らかとなった。

施設での聞き取り調査後 警察へ出頭「隠しきれないと思った」

質問は2023年12月14日の事件後、警察への出頭前についても及んだ。

細海被告が出頭した三条署
細海被告が出頭した三条署

弁護人:
施設での聞き取り調査は何回?

細海被告:
全部で2回。12月16日の午前と夜の2回。

弁護人:
1回目の聞き取りはどう思った。

細海被告:
やはり何か犯行の証拠が出てきたのではと思った。

弁護人:
なんて答えた?

細海被告:
移動の時にバランスを崩してしまったと虚偽の報告をした。

弁護人:
どうして?

細海被告:
本当のことを言うのが怖かった。まだ、ごまかしきれるのではと思った。

弁護人:
2回目の聞き取りは?

細海被告:
被害者の家族からはその話では納得できない。性的暴行を疑われていると言われ、性的暴行ではなく、ひざの上に落としてケガをさせてしまったと事実と異なることを言った。本当のことを言うのが怖かった。

弁護人:
聞き取りを終えてどう思った?

細海被告:
もう隠しきれないと思った。

そして、細海被告は12月17日に三条署へ出頭する。

取り調べでは“実際と違う”発言も「定かではなかったので」

続いて行われた検察側からの被告人質問。

検察側:
警察に自首した際の取り調べでは、いつ頃からわいせつな行為をしていたかという点で2021年7月頃と話していた。実際とは違っていた理由は?

細海被告:
「少なくとも」という言い方をした。定かではなかったので、そういう言い方をした。

検察側:
自家用車とスマホは重要な証拠と言って提出しているが、タブレットやノートパソコンは提出しなかった理由は?

細海被告:
持って行くことは考えていませんでした。失念していたから。

また、逮捕後に弁護人の指示で黙秘をしていた細海被告。途中で黙秘をやめた理由については…

細海被告:
今となっては黙秘するべきではなかった。

被害女性へ書いた“謝罪文” 弁護人に指摘され書き直しも

被害者に対しては受け取ってもらえないことが前提ではあるが、謝罪文を書いたという。しかし、弁護人から不十分な内容だと書き直しを言われたと話す。

検察側:
2023年1月~4月に書いた手紙(謝罪文)のことについて、どういう内容で書き直しになった?

細海被告:
反省が不十分で、不必要なものが書いてあったりした。

そこから弁護人の意見を踏まえ完成したのが4月で、その後、その謝罪文を出したかどうか、本人は確認していなかった。

後悔・反省の言葉繰り返す被告 被害女性へ「申し訳ない」

最後に逮捕後の被害者の様子を聞いて何を思うのか問われると…

検察側:
裁判で聞いたことや逮捕後の被害者の様子を聞いてどう思った?

細海被告:
私では推し量れないぐらい、つらい思いをしてきたのだと思った。

検察側:
被害者はされたことを覚えていると思いますか?被害者に対してどう思いますか?

細海被告:
覚えていると思います。やはり申し訳ないとしか言いようがない。

後悔や反省の言葉を繰り返した細海被告。裁判は2月21日に判決が言い渡される。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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