食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。
植野さんが紹介するのは「豚汁」。東京・神田にある居酒屋「豆福」を訪れ、一風変わった、味噌を使わないスタイルの人気メニューを紹介。
和食一筋30年、多くの飲食店が立ち並ぶ神田でひとり奮闘する店主の思いにも迫る。
番組も思い入れの強い、神田
「豆福」があるのは、千代田区・神田駅。「神田はちょっと懐かしいんです。30年くらい前に近くにオフィスがあって、毎晩のように飲み歩いていました。変っちゃいましたね、昔はおじさんたちが飲む店が多かったんです」と植野さん。

JRと東京メトロ銀座線が走る神田。東京駅の一駅となりで、日本橋も近いことからビジネス街のイメージが強い。
しかし、ガード下には下町の雰囲気と商店街も残る、歴史と情緒にも触れられる町でもある。
植野さんは「この番組でも『尾張家』や『新八』なども行きました。個人的にも番組的にも神田は思い入れがありますよね」と話し、店に向かった。
常連から愛される路地裏の居酒屋
神田駅から徒歩2分の静かな路地裏にある一軒家の店が「豆福」。1階がカウンター席で2階にはテーブル席。営むのは、店主の林潔人さん。

和食を中心とした居酒屋で、ランチタイムには定食、夜には季節の食材、なかでも魚介を使った料理が自慢だ。
店のほとんど全てをたったひとりで切り盛りする仕事ぶりはまさに“鉄人”。
そんな店主にほれ込んだ多くの常連が「豆福で体ができている」「目の付け所がいい」と絶賛する。ちょい飲みから食事まで自由に楽しめる、居心地の良い店だ。
手抜きしない、面倒くさいをあえて選ぶ
調理師学校を卒業後、和食一筋だった林さんは2011年に豆福をオープンする。

植野さんが「なぜ昼を豚汁にしようと思ったんですか?」と尋ねると、林さんは「最初カレーなどもやっていたんです。でもそんなに伸びなくて。豚汁をメインでやってみようと思って。はじめは味噌味でやっていたんですけど、夏になると味噌味だとお客さんが来なくて。まかないで作っていた出汁メインの味噌を使わないタイプで作ったらお客さんが来てくれて」と話した。

そんな林さんが普段心がけていることは「手抜きしない」ことだという。
「時間をかけたり面倒くさい事した方がいいなら、そっちを選ぶ」「“これでいいや”と思っても、ちょっと考えて、面倒くさい方を選ぶことが多い」と信念を語った。

本日のお目当て、豆福の「豚汁」。
一口食べた植野さんは「味付けは濃くないが、出汁と肉と野菜の旨味がすごく入っている」と驚く。
豆福「豚汁」のレシピを紹介する。