Zoomに追加された機能が話題

インターネットを活用することで、多人数が遠隔で意見交換できる「Web会議」サービス。新型コロナウイルスの影響もあり、社内外の打ち合わせに採用される場面も増えてきた。

そんなWeb会議ツールの一つである「Zoom」に、9月1日のアップデートで追加された「カスタムギャラリービュー」という機能が注目を集めている。

Zoomでは、参加者の映像を表示してミーティングすることができ、その表示モードには、発声した人が大きく映る「スピーカービュー」と、参加者全員が同じサイズでサムネイル表示される「ギャラリービュー」という、2つの表示モードがある。

カスタムギャラリービューの利用イメージ(提供:ZVC JAPAN)

カスタムギャラリービューは、このうちのギャラリービューに表示される順番を変更できるというものだ。これまでは、ミーティングの入室順などからZoomアプリが自動配置していたが、この機能を使えば、特定の参加者を上部に固定することなどができるという。

上座・下座に配慮したもの?真相は

ここまで聞くと便利な機能に感じるが、利用者からは賛否両論を呼んでいる。それは、この機能が日本の「上座・下座」の文化に配慮したものではないかと言われているからだ。

ご存じの人も多いだろうが、上座と下座は席順に関するマナーの一つ。一般的には、室内の入口から奥側の中央が上座、それから入口に近づくにつれて下座となる。上座は年長者や役職者が座り、そして役職などが低くなるにつれて、下座に座るのが望ましいとされている。

一般的には、入口から奥側の中央が上座となる(画像はイメージ)

これと同じように、役職者などを特定の位置に固定することが、Web会議のマナーになるのではないかと危惧されているのだ。ネットユーザーからは、「こだわりポイントおかしい気がする」「余計面倒なことになりそう」などの声も上がっている。

その一方で、機能自体は評価する声は多く、「研修や会議で順番を意識したい時に有効そうかなーと思ったんだけど」「メインスピーカーとか審査側と被審査側とかキーマンが出てるかわかりやすくするのはありだと思う」という反応も見られた。

今回の機能はどのような意図で追加されたのだろう。そしてビジネスシーンでは、どう使うのが望ましいのだろうか。Zoomの日本法人である「ZVC JAPAN」に聞いてみた。

“上座”機能を追加したという認識はない

ーーZoomに追加されたカスタムギャラリービューはどんな機能?

ミーティングのホストまたは共同ホスト、あるいは参加者自身が、ギャラリービューに表示される画面を希望の位置にカスタムすることを可能にした機能のことです。


ーー上座、下座に配慮したという声もあるが?

大変恐れ入りますが、ご質問の「上座機能」を追加したという認識は、弊社ではございません。日本のシニアエグゼクティブ(幹部職員)などに配慮した機能ではなく、あくまでもお客さまの利便性を考えて導入させていただきました。


ーーこの機能が追加されたのは、日本だけ?

グローバルでの機能拡張になります。

ミーティングの円滑な進行に期待

ーーそれではなぜ、特定の参加者を固定配置できるようにした?

Zoomの特徴の一つは、多くのユーザーがミーティングに参加できることです。Zoomミーティングでは最大1000人、Zoomウェビナー(オンラインセミナー)では最大5万人まで一度に参加できます。そして、これまではミーティングのギャラリービューに表示される参加者は、1ページにつき最大49名までとなっていました。

そのため、特定の参加者を探したい場合、複数のページをスクロールして閲覧する必要がありました。カスタムギャラリービューは、こうした課題に対応したものになります。


ーーどんな場面での利用を想定している?

会議の進行役や発表者などを必要に応じて、固定配置するという使い方が可能になります。固定することで、ミーティングを円滑に進行しやすくなることが期待されます。

会議の円滑な進行を期待しての機能という(画像はイメージ)

ーーカスタムギャラリービューで固定すると、具体的にどうなる?

これまでとギャラリービューの見え方に差異はございません。ホスト、共同ホストもしくは参加者自身が、選択した参加者をギャラリービューの希望する位置にドラッグすることで、固定することができます。画面の表示タブから「ホストのビデオの順番に従う」を選択すると、ホスト側がカスタムしているギャラリービューと同じものを、参加者側も見られるように設定できます。


ーー日本のネットユーザーからは賛否両論が出ているが?

申し上げました通り、今回の機能拡張は本来からあるギャラリービューの利便性を追求するための機能で、一部で受け止められている「上座」に対する配慮を意図したものではございません

弊社の願いは、常に弊社のソリューションを通じ皆様がより多くのことを達成し社会が豊かになることです。それと同時に、多様化していく組織やコミュニティの課題解決のため、できるだけ自由で透明性の高いコミュニケーションの場を提供していくことが使命と考えております。

マナーは大切だが、Web会議の特徴が失われることはないようにしたい(画像はイメージ)


カスタムギャラリービューは上座や下座といったビジネスマナーに配慮したのではなく、進行役や発表者などを分かりやすくして、会議の円滑な進行につなげるために追加されたものだった。

機能をどう使うかは個々の判断となるが、細かいところを気にしすぎて、Web会議の魅力である円滑なコミュニケーションが失われることのないようにしたい。

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