長崎・佐世保市の淀姫神社に伝わる「ヤモード祭り」。400年以上続くと言われる地区の伝統だが、今回、山の神として祭りを司ったのは2人の高校生だった。16歳の若者たちは地区の伝統をどのように体感したのか。

「わら」に触る機会が継承のカギ

青い法被を着た男たちが掛け声に合わせ「大しめ縄」をつくる「佐世保のヤモード祭り」。

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ヤモード祭りは400年以上前から伝わる伝統行事で、県の無形民俗文化財に指定されている。五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全を願って、毎年1月の第4日曜日に行い、佐世保市松原町にひっそりとたたずむ「淀姫神社」の鳥居にかける大きなしめ縄を氏子や地元住民、約70人で作る。

淀姫神社 矢峰松原氏子奉賛会 宮本 繁昌 役員:
(いまは)わらに触る機会が少ない、してみたいと思っても技術が伴わない。若い人が極力触ってみて、今年はよくできた、来年も頑張ろうという感じでしていけば、ずっと伝統継承は繋がっていくと思っている。

山の神には男子高校生2人が選ばれた

祭りをつかさどるのは「ヤモード」と呼ばれる白い法被を着た2人。

2025年は佐世保西高校1年の倉嶌太一さん(16)と松本壮志さん(16)が抜てきされた。ヤモードは山の神の使者で「山人(やまうど)」がなまったものと言われていて、矢峰町と松原町から1人ずつ選ばれている。

しめ縄作りが始まったころ、ヤモードが向かった先は近くの池だ。池にふんどし姿で入り、身を清める。

この日の水温は9度。ヤモードの2人は「これガチエグイ…ギャー!帰ろう、帰ろう」と声を上げた。

ヤモード・倉嶌太一さん:
マジで寒いです、でも身も心も清まった気がします。

ヤモード・松本壮志さん:
寒すぎて体がチクチクして、思っていたより寒くてびっくりした。

16歳で貴重な経験 友人にも発信

みそぎを終えたヤモードは、神社に戻り、サカキの葉をくわえたまま神前に供える団子「シトギ」を作る。 

一方、しめ縄作りでは「チョンチョコベ」と呼ばれるワラ人形を差し込みながら締め上げていく。

しめ縄作りを手伝う杉原正範さん:
すべてが難しい。1年に1回で覚えておくのが…忘れてしまって。

約5時間かけて全長8メートル、重さ300kgの大しめ縄が完成した。
一の鳥居に上ることが許されるのはヤモードの2人だけで、氏子と協力しながら大しめ縄を掛け、無事に大役を果たした。

ヤモード・倉嶌太一さん:
この祭りは全然知らなかったが、こんな素晴らしい伝統的な行事が身近にあってすごいなという感じ。普段できない経験が16歳でできたのでいい経験だった。

ヤモード・松本壮志さん:
とても大変だったがとても楽しかった。ヤモード祭りがあるということを周りの友達とかに言ったりして情報を発信して、ヤモード祭りの存在を知ってもらえたら発展していくと思う。

真新しくなった淀姫神社の大しめ縄。これから1年間、矢峰と松原地区の五穀豊穣と家内安全を見守る。

(テレビ長崎)

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