春一番は吹かず…
関東地方は、12日の夜に「春一番」の可能性があったが、結局吹かなかった。
その理由は風速が基準に0.7m足りなかったからだ。
春一番の判断基準は地方によって異なるが、関東地方では以下を基本に総合的に判断するとしている。

1 立春~春分
2 日本海に低気圧
3 関東地方における最大風速が、おおむね風力5(風速8m/s)以上の南寄りの風が吹いて昇温した
このうち、立春~春分の期間と、日本海に低気圧の存在はクリアしたが、風速が基準に達しなかった。

神奈川県や千葉県など沿岸部は風速8mを超え、東京でも羽田空港など湾岸エリアでは基準を超える強風が吹いたが、湾岸から少し離れた都心(千代田区北の丸)では最大風速が7.3mと、0.7m足りなかった。
これは低気圧の発達が鈍かったこと、さらに近年、東京湾岸エリアに高層ビルが壁のように建ち並び東京湾からの風が都心に入りにくくなっていることが大きいと筆者は考える。

ただ、コンピューターがはじき出した12日の都心の最大風速は、そもそも7mの予想で、予測誤差から春一番の可能性が指摘されていたので、結果としてはコンピューターの予想通りだった。
13日は冬の嵐…強風の原因とは
一方、今日13日は、空っ風が吹き荒れ冬の嵐となった。
関東地方では各地で倒木や建設足場倒壊、鉄道の運転見合わせが相次ぐなど、影響が大きかった。
各地の最大瞬間風速は、いわき市(福島)32.3m、三宅村(東京)30.3m、伊方町(愛媛)29.8m、日光市27.9m、千葉市26.2m、八王子市25.5m、北茨城市25.0m、さいたま市23.6m、横浜市22.3mなど、台風が来た時のような暴風が観測された(13日15時までの集計)。

なぜこれほど強い風が吹いたのか?
昨日12日に春一番を吹かせなかった日本海低気圧が、13日は日本の東の海上に進んで発達した。
さらに中国東岸に進んで来た高気圧が優勢(気圧がとても高い)で、日本付近は気圧の高低差が大きく、落差が激しい状況だ。

天気図では等圧線が日本付近で縦に何本も並び、等圧線の密度がまるで台風の時のようである。
気圧を地形に例えると、低気圧に相当する谷はそれほど深く無いものの、高気圧に相当する山が高くて、山から水を流すと谷に向かって勢い良く流れ落ちるのと同様に風が強く吹く状況だ。
あす14日は北風弱まる見込み
さて、風はこのあとどうなるか?
中国大陸の高気圧は移動性になって、明日は西日本を覆う見込みで、等圧線の間隔が開いて、日本付近の気圧の高低差が小さくなる見込みである。
このため、あすは北風が弱まって来るだろう。

春が近づいて、赤道付近で溜まった暖気が日本方面に進んで来るようになってきた。
これによって暖かさを感じる日もあるが、北極からの寒気とぶつかりやすくなっていて、低気圧が日本付近で発生、発達しやすい状況になってきた。
このため春に向かうこの時期は、気温がジグザグと乱高下する。
これからしばらくは気温の変化に気をつけていただきたい。
【著者:フジテレビ気象センター 三井良浩】