ホンダと日産自動車の社長が6日、会談を行い、日産の社長からホンダへ経営統合の協議を打ち切る方針が伝えられたとみられている。ホンダは日産に子会社化の提案をしたことが明らかになっているが、日産側では反発の声が相次いでいた。専門家は、統合による業界全体のメリットがあるはずで、破談した場合、日産の経営陣が今後どのような方向に日産を導くのか、責任は極めて重いと指摘する。

日産「子会社化案」に反発し統合協議を撤回へ

ホンダと日産自動車は、6日午前、両社の社長が会談を行った。この会談で、日産の社長から経営統合に向けた協議を白紙撤回する方針をホンダ側に伝えたとみられる。

この記事の画像(11枚)

ホンダと日産の経営統合を巡っては、1月末を目処に方向性を示す予定だったが、2月中旬に判断を先延ばしし、ホンダが業績が悪化している日産の株式を取得して、子会社化する案を打診していたことが明らかになっている。

こうした中、6日午前、ホンダの三部社長と日産の内田社長が、東京都内のホンダ本社で会談したことが分かった。

日産は5日に開いた取締役会で子会社化案について議論したが、反発の声が相次いでおり、内田社長から経営統合に向けた協議を白紙撤回する方針を、ホンダ側に伝えたとみられている。

EV投資の遅れ・販売不振で再建が急務

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
経営統合の協議が打ち切りの見通しとなっていますが、どうご覧になりますか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
少しひねくれた見方をすれば、日産が大胆な経営改革に踏み切れないことに嫌気を感じたホンダが、断わられることを覚悟で敢えて子会社化提案を行った、なんてこともあったのかもしれません。

いずれにしても、日産の再建は急務ですが、それを単独でやり遂げるのは難しい状況にあります。

堤キャスター:
具体的には、どういった課題に直面しているのでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
先々の話で言えば、自動車メーカーは将来のEVシフトや、ソフトウェア先行で自動車を開発するSDVと呼ばれる次世代の車に巨額な投資を行う必要があるのですが、日産はその手当を失う形になります。

しかし、こうした将来の備え以前にそもそも日産には、現在の市場で「今売れる車がない」という根本的な問題に直面しています。

これは、カルロス・ゴーンのマネジメント以降、効率性を過度に重視し、EV以外への投資を極度に怠ったためでもあります。日産はすぐにでも、足元の既存ビジネスを立て直す必要があると思います。

「どのような方向に日産を導くのか」経営陣に重責

堤キャスター:
新たなパートナーを探すことで状況を好転させる可能性については、いかがですか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
日産と対等な関係であり、かつ日産を支えることができるような都合の良い相手が本当にいるのでしょうか。

今後、過度なリストラを繰り返して、最終的には外資の傘下に入るというようなことになれば、「あの時、ホンダと組んでいれば」ということになりかねないかもしれないですね。

堤キャスター:
今回の経営統合の協議打ち切りの見通し、日本の自動車産業にどういった影響があるのでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
ホンダ・日産の統合がなされれば、日本ではトヨタとホンダ・日産という2つの大きなグループが誕生する訳で、両社が切磋琢磨することで、国内の自動車部品のサプライヤーなど産業全体にもメリットがあるはずです。

何よりも大切なことは、日産やその先の日本の自動車産業全体の雇用を守ることだと思います。その意味でホンダとの協議が破断した場合、日産の経営陣がどのような方向に日産を導くのか、その責任は極めて重いと言えそうです。
(「Live News α」2月6日放送分より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)