来園者に抱っこされるかわいいライオンの赤ちゃんに、大きな口を開けて勢いよくエサに食いつくトラ。体に巻きつく巨大なヘビや、大きなキリンも目の前に。
“近距離&触れ合い”が人気のノースサファリサッポロ

札幌市南区の動物園、ノースサファリサッポロ。2005年にオープンして以来、150種類ほどの動物を飼育。レストランや宿泊施設もあり、動物とすぐ近くで触れ合えると市民や観光客に人気を呼んでいる。
しかし、この動物園が今、閉園の危機に陥っている。
「きょうは動物の展示は休みということですが、建物撤去命令が報道される中、インバウンドを中心に客が訪れています」(林幹夫ディレクター)
施設は「無許可の建築物」

札幌市によりますと、ノースサファリサッポロがある場所は、宅地や商業施設の開発が制限される「市街化調整区域」。建物の建設に必要な市の許可を得ずに営業を続けていて、市が都市計画法に基づきすべての建物を撤去する“除却命令”を検討している。命令が出されれば、事実上の閉園命令となる。

「(ノースサファリの施設は)無許可の建築物となります。違法建築物です。(違法建築物は)ざっと100以上はある。これだけの数の違法建築物を抱える事業者は『例を見ない』くらいのものですね」(札幌市 開発指導課 坪田修一課長)
再三の指導にも応じずー
市はノースサファリが開園する直前の2004年に、無許可で建設工事が行われていることを確認し、運営会社に許可を得るよう指導した。

しかし、応じることなく建設を進めて2005年に開園。その後も、市の再三にわたる指導に応じず、建築物は150棟ほどに増えた。近年は園のPRも積極的に行っているという。
「(過去に複数回)指導したときは『改善する』という回答はもらっているが、その後建物が増えているので、ちょっと違うんじゃないのという認識がある。(指導後も)確信犯的にやっているので、悪質性の判断の部分では高く感じざるを得ない」(札幌市 開発指導課 坪田修一課長)
一方で市は、動物園の営業に必要な届け出や宿泊施設の営業許可を出し、オープンから20年、結果的に黙認してきたようにも見える。
一見ちぐはぐな対応について、管轄する保健所は。

「都市計画法とは別の動物愛護法にもとづき、法令違反がなかったため拒めなかった。すでに動物が飼育・展示されていて、動物保護の観点も影響した」(札幌市保健所の担当者)
運営会社は「真摯に対応してきた」
市の方針について運営会社のコメントは。
「これまで札幌市には真摯に対応してきた。2023年に土地を購入したり、2024年に計画書を提出し、審議の日程も決まっている。市を無視してきたような話に困惑している」などとコメントしている。

2月3日、ノースサファリサッポロでは犬ぞり体験などが行われ、観光客が楽しんでいた。
「それで20年間やって来られたんだ…動物がかわいそう」(来園者)
市は今後、運営会社から言い分を聞き、最終的な結論を出すという。