「ポスト安倍」ねらい総裁選へ挑む石破氏

自民党総裁選挙に立候補を表明した石破茂元幹事長は9月5日、ともにテレビ西日本(福岡)の報道情報番組「福岡NEWSファイルCUBE」に出演し、新型コロナウイルスで拡大した格差の解消、収束前の特措法改正の必要性などに言及した。

――石破さんは、1週間の内、5日間は地方に?

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石破茂元幹事長:
国をできるだけ多く回りたい。委員会があったり、本会議があったりするときは東京にいます。だけど土曜、日曜とかね、少しでも時間があれば地方に行く。あとは、歴史で自分が知らないことがあまりにも多いもんで、もう一回、特になんで戦争になったか、特にアジアの歴史、日本とのかかわり、これ知らないで外交なんてできない

――石破さんは、二階さんとも夏場にかなりお会いしたという情報もあるが、二階さんに裏切られたとは思わない?

石破茂元幹事長:
そんなこと言ってるんだったら政治家なんて務まりませんよ

――街頭インタビューなどでは菅氏にリードを許しているが?

石破茂元幹事長:
その通りなんでしょう。だからまあ、世情ね、これだけ派閥がザワザワザワ~と並んでるんですから、勝ち馬に乗りたいと言ったら、言い方は良くないかもしれないけど、そういう心理というのはありますよ。定数一の選挙というはそういうものですもん。勝ち馬に乗るっていうね、そういう現象が起こりますからね。こういう声だっていうことをよく認識しながらやっていくということでしょう。率直に受け止めるべきだと思いますけど

――菅さんが表明するまではマスコミの世論調査というのは、圧倒的に石破さんだった。ここ数日のメディア戦略があると思うが、好調といわれるアベノミクスを続けてほしい、現状継続してほしいというのが菅氏を推す人たち。ただ安倍さんが道半ばにして退陣してしまったという同情もかなり強いと思う。「反安倍」という意識がだいぶ薄れてるとなると、石破さんというのは、安倍さんに対する手法に対するアンチテーゼという役割があったので、それが相対的に下がってきている感じがするが?

石破茂元幹事長:
世論というのは瞬時にして変わりますからね、移ろいやすいものだと思ってます。かわいそうだね、とかね、そういう同情でガラッとこんなに変わるんだ、ということなんですよね。だけど、目指すべきは何なんだろうかと、だから平成の30年間に何が起きたかというとね、企業収益は3倍になったんです。株の配当は5倍になったんです。所得は伸びてない、ということはどういうことなんだい、大企業に勤めてる人、あるいはその関係の方、株を持っている人、豊かになりましたよね、でも、昭和25年に生活保護制度って始まったんだけど、憲法では「最低限度の文化的健康的生活を営む権利を有する」て書いてある。なんと戦後5年で生活保護制度始まったんです。200万人。今、一緒の数ですからね、これは一体どういうことなんだ、ということです

石破茂元幹事長:
だから一部の人たちが豊かになっても、皆に回らないんだということですよね。そういう批判をしている訳ではない。豊かな人が豊かになっても良いこと、ただ、それが皆に回らないってどういうことなのか。200万人が300万円の収入があったら、増えた100万円を使うじゃないですか、2000万円の人が3000万円になっても、増えたお金をどんどん使わないですよ。どうやってそういう人たちは消費を伸ばしていくと考えた時に色んなやり方があるはずです。直接的な経済の支援もある、納税の猶予もあるでしょう、いろんなやり方があるはず。だから、何が争点なのか、拉致の問題にしても、どうすれば解決するだろうか、コロナもそうですね、安全保障もそうですね。具体論をどうやって投票券はないけど、国民に、投票のウエイトが1/3になっちゃったけど、それ示すのが総裁選だと思いますよ

――各都道府県連でどれぐらいの数字を石破さんが取るか。141票の半分くらい石破さんが取れば、石破さんの存在がアピールできるのでは?

石破茂元幹事長:
2年前も安倍さんと一対一、現職総理さんと一対一なんて48年ぶりですよ、党員の票を45%もいただいたのね。石破つぶしてやろうと思ったのに45%もとっちゃったみたいな、ことがあったのかもしれない。今、自民党員大増強運動やっているんですよ、自民党本部行くと、総力結集1,200万党員というポスターが一杯貼ってありますよ。知事は県民が選べる、市長は市民が選べる、総理大臣選べない、自民党員になったら一票あるんだからね。でも突然、投票やめて、いやいや投票には2カ月必要なんです、って言ったら、突然辞めたら毎回党員に権利ないんですか。
私も幹事長をやってましたからね、党員ってコンピューターで管理してるんですよ。何で2カ月かかるのか私には理解でいない。もし本当だとしたら、総裁が突然辞めた時は、常に2カ月かかるので党員には権利がないのであります。そりゃ、何のために党員になったのですか、選挙が近いぞ、頑張ってくれ、そりゃ違うだろって思う方も少なからずいらっしゃるはずですよ。党員をないがしろにすると自民党は大変なことになります

――自殺された職員の方の遺書が出てきた森加計問題。菅さんは再調査しないと言っている。またアベノミクスを継承すると言っているが、国と地方の借金1100兆円ある。これをこれからどうするのか。全然見えない。菅政権が負の遺産まで引き継ぐとすれば、今後どうクリアしていくのかが全然見えない。見えてないのにこれだけの指示が集まっているというのは違和感あるが?

石破茂元幹事長:
不思議なものですよね、負の遺産がこれこれ、これこれこれというのは、幹事長2年、大臣2年やってて、天に唾するようで言いたくないんですけど、ひとつは、官僚たちのやる気の問題があります。改ざんされる、破棄される、本当のことを言うと疎まれる。国民のために働く官僚の気持ちがそがれてないか、これが一点

石破茂元幹事長:
もうひとつは、政治って政府だけでやるものではなくて、議会の知恵って必要でしょ、色んな党が色んなことを言う、議会の知恵を借りて「あ~そうなんだね」ってことがあるじゃないですか。議会の知恵を借りる、官僚たちが官邸を見るんじゃない、国民を見て全身全霊でやる。私はこれが少し欠けてたような気がする。何となく怖いな、っていう感じが官僚たちの間にあるんじゃないだろうか。そして泣いてる人たちの気持ちを本当に十分にくんできただろうか。そして野党はあっちいけ、と。それはおかしいのであってね、(答弁は)Aを聞いたらBを答える、あるいは同じ答えを何度も繰り返す、だったら議会の意味ないじゃないですか。野党の知恵だって。だって一人の議員の後ろに10万人居るんですよ、そういう人たちがいる。
自民党というのは、投票率5割で、得票率5割で、6割、7割の議席持っているんですよ。幹事長の時にずっと言い続けていたんだけど、自民党を積極的に支援する人がどれだけいるか?5割の投票率、5割の得票率、それで6割7割の議席を持っている。このことの怖さを忘れちゃいけないよ、私は今でもそう思います

「納得と共感」の背景にある「保守」の本質とは

――石破さんは保守だが、安倍さんは保守ではないのでは?対立軸があってしかるべきだと思うが

石破茂元幹事長:
J・F・ケネディの名言集を小学生の時に読みましたけど、ケネディが言った言葉があります。「なぜその垣根が作られたかを知るまでは、その垣根を取り払ってはならない」。私は、保守というのはイデオロギーではないと思っているんですよ。保守主義という主義があるわけじゃない。それはイデオロギーじゃない。家族、地域、大切にしようね、皇室を敬おうね、先祖大事にしようね。私はそれが保守主義なのであって、何かのイデオロギーがあって、これを実現するために。それは私、保守だと思わないですよね。納得と共感と言ったのは、大勢の人たちがそうだよね、と思って納得をしてくれる。その努力をすることが保守には必要なことだと思っているのですよ。
ですから、私は高校生くらいからずっと考えているんですけど、保守って何だろうか、過激な言葉、強い言葉、それが保守ではない。そういったのはフルブライトでしたかね。本当に誠実に誠実に、一生懸命一生懸命説明する。共感を得るそれが保守の本質だし、イデオロギーではないと思うんです。で、何か変えるんだったら理屈が必要ですよね。じゃあ、イージスアショア、これブースターが落ちるからやめて、ボーンと飛んで相手国領域攻撃する、それって論理が飛躍してますよね。説明が足りなくないですか。自衛隊を憲法に書くんだ、それ一体何が変わるんですか。丁寧な説明が必要でね。経済もそうです。成果を誇ることは結構。だけどもその陰で泣いている人どれくらいますか。そういう人たちにどういうまなざしをむけるか。保守ってそう温かいものだと思っているんです

――もしかしたら岸田さんと少し相通じるものがあると思うが、岸田さんと形にしていくというそういう思いは?

石破茂元幹事長:
だからね、総裁選って私もまあ、ギネスに挑戦している訳ではないけど、4回目な訳ですね。総裁選って、その人がどんな人なのかっていう、ぎりぎりの環境の中で分かる。選挙ってそういうものですよ。私は、岸田さんと同じ年、私が鳥取、岸田さんが広島だけれど、この総裁選挙を通じて、政策も、政治姿勢も、人柄も、一緒にやれるかもしれない、それは利害打算じゃない。どんな政治観を持ち、どんな国家感を持ち、どのように国民に向けて、相対していくか、そういうことが共有できたら、「例え不利でもやるんだ」っていうね、岸田さんも言ってたけど、利害打算で政治は動かない。政治家は利害打算ばかりで動いているんじゃないんだ。国民がどうやって、キザな言葉で言えば感動してくれるかっていうことですよ。国民が政治に感動してくれなかったら、それはもう政治じゃない。私は怖いのはもう、何言ったって駄目だ、みんな派閥が決めてるんだよね、政治家は利害打算で動いているんだよね、投票に行くのやめよう、政治に関心を持つのやめよう、そういう人が増えるのが一番怖い。それを防ぐのは感動しかない

――今回、情勢はかなり厳しいが、来年の秋にはまた総裁選があるが、来年以降もそういった形で闘っていく?

石破茂元幹事長:
それは同志がどれだけ一緒にやってくれるかにかかっていてね、これだけ色んな圧力があってですよ、私を除けば18人、一緒にやろうという人がいる。20人居なければ総裁選出られないんです。これまで4回、20人が一緒にやろうと言ってくれている訳です。だから同志が「よし一緒にやろう」と言ってくれるのならば、それは目指していかなければいかんと思います

――同志の皆さまも安倍政権下では冷遇をされたと言われ方もしているが、その絆というのはどこから生まれてくる?

石破茂元幹事長:
「ポストが欲しければ石破派なんかいないよ、ハハハって」言ってるらしいけど、皆、選挙はきちんと自分でやる。原稿見ないで1時間でも2時間でも話す。そしてテレビで出て政策をちゃんと説明する。皆、選挙に行けば分かりますもん。自民党だから応援するんじゃない、あの人が好きだから応援するよっていう人たちがうちの村。そして政策を一生懸命作ってくれる。皆利害打算じゃなくて、一生懸命やってくれる。そういう政治家の集団というのがあっても良いじゃないですか

「夢は諦めたら終わり」理想の実現を目指し次代へ

――闘い終わったあとの設計図は?石破さんつぶすために両院議員総会に持って行くような権力闘争だが、その中で今後の設計図をみたいなのは?

石破茂元幹事長:
つぶしとか、外しとか殺しとか、おっかない言葉飛び交ってますけど、夢は諦めたら終わり、理想は諦めたら終わり。「石破は、夢は諦めたんだね、理想諦めたんだね」ってことになれば、どれだけ多くの人が失望するかですよね。だけど世論ってそんなもので、人の心ってそんなもので、昭和15年でしたか、米内光正総理(1940年1月~7月)に対して、与党の議員が「日中戦争、何のためにこの戦争やっているんだ」と「どうやって収束させるんだ」と聞いた斎藤隆夫という代議士がいましたね。除名ですよ、除名。そん時に「除名はおかしい」と言った人は7人しかいなかった。後の人たちは皆「除名だ!危険だ!」っていうことでしたよね。それは、どんなに圧力食らってもやんなきゃいけない。そん時の斉藤隆夫さんの演説(1040年・反軍演説)は、今でも心奮わせます。政治ってそんなもんだと思ってて、自分がやっているときは実現しないかもしれないけど、次の時代に「あん時、あ―ゆう人がいたよね」ってこともあるかもしれない。別にこれで辞める訳でもなんでもないが、諦めたら終わり

――2012年の総裁選の後、幹事長に。もし、今回の総裁選の後に入閣だと打診があった場合はどう対応?気が早いが

石破茂元幹事長:
気が早いです。それは、どういう結果が出るかだし、今からそういうことを言うべきではない。

(テレビ西日本)