中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる一連の報道などに関して、フジテレビは27日午後4時から記者会見を開いている。
■【10時間半会見全編】中居正広氏と女性とのトラブルに関して説明 嘉納会長・港社長が辞任

27日の会見には、フジテレビの嘉納修治会長、港浩一社長、遠藤龍之介副会長、さらに親会社フジメディアホールディングスの金光修社長が出席。前回17日の港社長の会見と異なり、今回はオープンな形で行う会見となっている。

会見のポイントを、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演したジャーナリストの青山和弘さんは「永田町もくぎ付け。政府が納得できるか」、弁護士の山岸久朗さんは「『調査を待つ』は無意味」だと述べた。
■第三者委員会の調査結果を待つことに山岸弁護士は疑問
山岸久朗弁護士は、第三者委員会の調査結果を待つことに疑問を呈している。

山岸久朗弁護士:第三者委員会が設置されて、これから事実を調査をする。一般的な会見では、『調査結果が出るまで何も話せない』と言って逃げていくようなことになるのではないか。
山岸久朗弁護士:日弁連のガイドラインに基づいて作る第三者委員会というのは、無関係な第三者から選ばれる。強制捜査権限が与えられるわけでもない。その中で言われている当事者2人は守秘義務を結んで、示談契約をしているんです。何も事実が出てこない中で、果たしてフジテレビ関係者がどれだけ事実を話すのかというと、私は悲観的に見ています。そんな調査の結果を待ってからしか何も言えないという会見だったら何の意味もない。
青木源太キャスター:会見で『調査が終わるまで答えられません』という回答を繰り返せば、世間もスポンサーも印象がよくならないですね。
山岸久朗弁護士:それはもう失敗の上塗りじゃないですか。
■「永田町も釘付け」とジャーナリスト青山氏
青山和弘さんは、政府の理解を得ることの重要性を指摘する。

ジャーナリスト 青山和弘さん:テレビ局は放送の免許をもらって運営しているため、政府、総務省が所管している。『免許を取り消す』という噂も出ていますが、私が総務省に取材しても、今そういう動きには全くなっていない。なぜかというと今回の問題が放送法に抵触するような問題、つまり放送の内容に関わるものではないという見立てをしているからなんです。
ジャーナリスト 青山和弘さん:一方でテレビ局という公共の電波を扱う企業のガバナンスやコンプライアンスの問題には非常に注視していて、林官房長官が金曜日に『フジテレビが関与する広報啓発事業があるか全省に照会した』と言った。その先に事業を引き上げることがあるわけです。
ジャーナリスト 青山和弘さん:ただこれに関して『調査の状況などを踏まえつつ、必要があれば』と言っているのですが、政府がやはりそういう姿勢を見せたということは、今離れているスポンサーに根拠を与えることになる。スポンサー、視聴者に理解を得るのもそうですけれども、やはり政府側も注視しているので、その理解を得ないといけない。そういう意味で今回の会見は、失敗したとかやり直しとか言っていられない。本当にフジテレビの浮沈をかけた大きな節目の会見になると思います。
さらに今回の会見は時間の制限もなく、質問の制限もなく、「経営陣の覚悟が問われている」と青山さん指摘する。
ジャーナリスト 青山和弘さん:『答えを差し控える』という回答をどれだけ減らせるか。守秘義務もあるし、プライバシーもあるけれど、例えば中居さんの起用を続けた理由や、接待みたいなことが他にもあったのかどうか、港社長や皆さんが知っていることはあると思うんです。こういったことについてどれだけ率直に語るのか。それに対する経営陣の覚悟がまさに問われていると思ったほうがいいと思います。
■女性の保護と再発防止策が重要
また山岸弁護士は、女性の保護と再発防止策の重要性を強調した。

山岸久朗弁護士:一番大事なことは、女性が性の被害に遭わないような仕組みづくりです。調査結果ではなく、再発防止策が一番大事だと思っています。世論が取締役の退陣を求めるとなっているのは、僕としてはちょっと違うんじゃないのかなと思いますが、世論の流れからは退陣しないと納得いかないような流れになっている。CMはAC(公共広告機構)ばかりという異常事態になっています。
山岸久朗弁護士:退陣したからといって、被害に遭ったという女性と同じようなことが発生しないようにする再発防止策には全く関係ないじゃないですか。それをどう防げるのかということが、一番重要な第三者委員会の使命なのに。
中居氏と女性とのトラブルをめぐる事柄だけではなく、前回の記者会見で問題が悪化してしまった責任は現経営陣にあるといえるのではないのか。
山岸久朗弁護士:あのこと(会見)によって、結局CMがACに一斉に切り替わることになったので、その責任は当然あると思います。
■フジテレビ・日枝取締役相談役に会見への出席求める声
フジテレビの労働組合から、日枝久取締役相談役の会見への出席を求める意見書が提出された。今回の件は、フジテレビ全体の企業風土が問われている中で、フジサンケイグループ代表でフジテレビ取締役相談役の日枝久氏の出席を求める声が上がっているという。

ジャーナリスト 青山和弘さん:フジテレビに今求められているのは、生まれ変わることで、刷新することなんです。調査結果を待ってとか、いろいろやめるタイミングがあると思うけど、じゃあ誰が責任を取るべきなのか。港社長ももちろんなんですけれども、一番フジテレビで影響を持ち、これまでのフジテレビを作ってきた人は誰なのかといったら、やはり日枝さんなんです。
ジャーナリスト 青山和弘さん:フジテレビの人に聞いても、いまだに強い影響力を持っていることは間違いないんです。フジテレビは優秀で心ある人たちがたくさん働いている会社で、世界に伍(ご)するメディアカンパニーに生まれ変わることができる。そのために新しくしていくために何が必要なのかということを考えれば、おのずと答えは分かると私は思います。
一方、山岸弁護士は法的な観点から次のように述べた。
山岸久朗弁護士:(日枝氏は)会社法的に見ると、相談役に退いていて、代表権があるわけでもない。記者会見は一般市民、国民に事情を説明する場です。日枝さんが出たところで、きっと何を聞いて答えられないんじゃないのかと思うと、この人を呼ぶ必然性はないんじゃないかと僕は思っています。
山岸久朗弁護士:日枝さんが出てきて、『私、責任を取って辞任します』と言うのだったら出てきてもらう価値はあると思うんですけど。
■日枝氏は「実績があるからこそ、覚悟と矜持がやっぱり必要」と青山氏
青山和弘さんは、日枝氏には「やはり責任はある」という見解を述べた。

ジャーナリスト 青山和弘さん:私はこのフジテレビの会見はものすごい重大な意味を持っていると思うんです。フジテレビの経営陣が覚悟を見せなきゃいけないときに、『この人は出ない』とか『控えておこう』とか、そういった姿勢がスポンサーや政府や視聴者にどう見られるのか。やはりそこを考えていく必要がある。何かを守ろうっていうことはもう捨てなきゃいけないのに、何を守っているのか問われることになると思います。
ジャーナリスト 青山和弘さん:(日枝氏は)森喜朗さんとか、安倍晋三さんとかと非常に親交も深く、ゴルフなどもよくやっていた。やはりフジテレビの顔として君臨してきた。放送業界はやはり免許をもらってなんぼですから、そういった行政を担ってきた。そういう意味で、力のある人だったことは間違いないと思います。
ジャーナリスト 青山和弘さん:日枝氏がこれだけ長くやってきたっていうことだけでも、やはり責任はあるんですよ。その覚悟を示すことが、フジテレビを生まれ変わるために必要かどうか。それだけの実績があるからこそ、覚悟と矜持がやっぱり必要なんじゃないかと思います。
■中居氏の番組を継続していた責任はどこにあるのか
会見での注目点として、中居正広氏と女性とのトラブルを把握してから、番組が継続していた点もあげられる。

山岸弁護士は法律家の立場から、中居氏の番組が継続したことは法律的な問題があるものではないと見解を述べつつ、あらためて再発防止策の重要性を強調した。
山岸久朗弁護士:当事者同士で示談が成立して、解決金を伴って締結している。その場合に、当事者がテレビに出ることを差し控えるというのは、ある種のモラルであって、法律的な義務でもなんでもない。(フジテレビが)どこまで認識していて、出し続けた責任をどう捉えるかということに関して、記者会見で何が出てくるのか。そこはあまり叩くところじゃないんじゃないのかなと、弁護士的には思ってしまう。

山岸久朗弁護士:大事なのは、被害を受けたとされる女性の被害に関して、フジテレビがどれだけ関与していたのかという中核の部分。本当のことを言うと、これから第三者委員会を作るので、委員会の弁護士が調査する。多分本当の契約を締結している当事者2人はほぼ何もしゃべらないと思いますけれども、関与されていると報道されている男性に対しての事情聴取は必ずあると思うし、匿名でのアンケートなどもすると思う。
山岸久朗弁護士:その結果を見て、今後どういう再発防止策ができるかというところが“キモ”だと思います。
27日の記者会見は、フジテレビの今後を左右する重要な会見となる。経営陣の覚悟と具体的な再発防止策が示されるかどうか注目だ。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年1月27日放送)