1月22日夜、JR長野駅前で起きた刺傷事件で3人が被害に遭い、1人が死亡、2人が重軽傷を負った。この衝撃的な事件は市民生活に様々な影響を与えている。小中学校では2000人以上の児童生徒が登校を控え、進学塾では出席者が半減、飲食店では予約のキャンセルが相次いでいる。警察は異例の対応として、関東周辺の10都県から約100人の警察官を派遣し、警戒を強化している。地域に広がる不安は、いつまで続くのだろうか。
小中学校で2000人以上が登校せず
長野市の小中学校76校では、1月23日、全体の1割以上にあたる約2800人が登校を控え、24日も2000人が登校しなかった。
市教委は「不安を感じる場合は登校しなくても欠席扱いにしない」としている。

また、下校後や週末の子どもだけの外出を控えるよう呼びかけ、課外活動や部活動は原則行わず、行う場合は保護者に送迎を求めている。
進学塾の出席は半分に
長野駅前にある進学塾では、通常の授業を行っているものの、出席者が大幅に減少している。
進学塾のデパート・蠣崎賢司校長は「心配・不安がある家庭に関しては、極力来校は控えるようにしていただいて。(出席は)前日の半分くらい、低い学年になればなるほど来校を見合わせている」と話す。

周辺の6つの塾に通う小学4年から浪人生まで150人ほどの生徒のうち、23日は保護者に送迎を求め、帰宅時間を早めた生徒もいた。
中学3年生を送迎する保護者は「(息子は)逃走現場が近かったら怖いなとおびえてました。2人でこの距離でも行かせるのは怖いので早く捕まってほしい」と不安を語った。
受験生への配慮も
受験を間近に控えた生徒も多い中、塾では「いつも通り」の対応を心がけている。
蠣崎校長は「大学、高校受験も直前に控えてますので、変に不安をあおらないように(事件を)話題には出さないように。普段と変わらない一日を過ごさせるところに注力」していると話す。
飲食店ではキャンセル相次ぐ
事件の影響は夜の街にも及んでいる。駅前のビルの地下にある飲食店「winds」では、普段は新年会などで賑わう時期だが、事件翌日の23日は数人の客しか訪れなかった。
オーナーの田中正之さんは「午後8時くらいになると平日でもほぼ満席になるんですけど、きょうはちょっとそういう状況がないかな」と話す。

事件発生直後から影響が出始め、翌日には週末分を含む約70人の予約がキャンセルになった。
田中さんは「事件当日の午後8時半くらいからお客さんの動きが止まりまして、土曜日に少年野球の会、子ども15人、大人20人くらいの宴会も入っていたんですけど、それも駅前の近くということで保護者から小学生とかは危険だからとキャンセルになった。影響は大きい」と語る。
過去にない事態
店を構えて40年の田中さんは、過去にない事態だと話す。
「怖い状況もあるしお客さんに来てくれというのも難しいんじゃないかと。長野駅の真ん前でこういうことが起きるのは考えられないし」と困惑を隠せない。そして「安心するためには犯人が捕まってもらうこと(が一番)で、それを一番望んでいる」と述べた。
警察100人派遣の異例対応
地域に広がる大きな不安を受け、警察は関東周辺の10都県から警察官約100人とパトカー16台の応援を受け、警戒を強化した。

警察庁が個別の事件で100人規模の派遣を行うのは異例の対応である。市民の安全と安心を取り戻すため、捜査が続けられている。
(長野放送)