自分がいらなくなったモノを簡単に出品でき、ネット上でフリーマーケットのように簡単に売買できるフリマアプリ。現在、若い世代を中心に広く浸透している。

そんなフリマアプリの1つ、メルカリの利用者に関して興味深い調査結果が発表された。

博報堂生活総合研究所とメルカリ総合研究所が共同で「フリマアプリ取引構造の実態分析」を実施し、合計1,199カテゴリーにおよぶ「メルカリ」の商品カテゴリー毎に、2019年の取引の出品者、購入者の年齢分布を分析。

その結果、下の年代から上の年代にモノが「逆お下がり」する商品カテゴリーが多く存在することが明らかになった。

ベビーカーは一般的な「お下がり型」

そもそも、お下がりといえば、上の世代から下の世代に受け継がれるものが一般的だろう。
今回の調査結果で、例えばベビーカーの場合、

資料提供:博報堂生活総合研究所
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取引の年齢分布を見てみると、出品者の平均年齢は36.5歳、購入者の平均年齢は34.3歳となっており、出品者の年齢が購入者より高い傾向がわかり、お下がり商品といえるだろう。

今回の調査結果で、お下がり商品には他にも、「ダーツ」などオトナの⽂化関連のもの、「美顔ローラー」など美容ツール、「フィルムカメラ」、 「スケートボード」といったものがあった。

「逆お下がり型」の商品は?

逆お下がり商品はその逆で、下の世代から上の世代へと受け継がれるというものだが、どんなものがあるのか?

逆お下がり商品だったのは、「コーヒー」などの嗜好性飲料、「ドライブレコーダー」などの安心ツール、「入浴剤」などの“温もり”関連商品、 ボールを中心とした「野球の練習機器」などだ。
 

※イメージ

それぞれどの年代の人が手放し、どの年代の人が購入したのか?その理由とともに1つ1つ詳しく見ていく。

まずは、「コーヒー」などの嗜好性飲料。
「コーヒー」の場合、出品者の平均年齢は38.8歳、購入者の平均年齢は43.7歳となった。

資料提供:博報堂生活総合研究所

上の図を見ると、出品者は30代、購入者は40代を山として分布している。同様の年齢分布を「茶」など他の嗜好性飲料も示しており、贈答品などを自宅で使いきれない下の世代から、上の世代にモノが循環していることが伺えると分析している。 

続いて「ドライブレコーダー」

「ドライブレコーダー」の場合、出品者の平均年齢は38.4歳、購入者の平均年齢は43.5歳。

資料提供:博報堂生活総合研究所

出品者は30代、購入者は40代後半から50代前半を山として分布していることがわかる。同様の年齢分布を「防犯カメラ」など他の安心のためのツールも示しており、新しいツールに明るい下世代から上世代に拡められていることが伺えるとしている。

「入浴剤」の場合はどうか?

「入浴剤」の場合、出品者の平均年齢は37.8歳、購入者の平均年齢は41.0歳。

資料提供:博報堂生活総合研究所

出品者は30代前半、購入者は40代前半を山として分布。同様の年齢分布を「電気ヒーター」など他の”温もり”に関連する商品も示している。
また、「乳液/ミルク」など他のコスメ系消費財カテゴリーにも「逆お下がり型」であるカテゴリーが多く存在した。

 「野球の練習機器」の場合は、興味深い傾向が見られた。

出品者の平均年齢は37.4歳、購入者の平均年齢は38.9歳。

資料提供:博報堂生活総合研究所

出品者は18歳に突出した山があり、40代後半にもう一つの山がある一方、購入者は40代前半を山として分布していることがわかる。
40代の近い世代間で取引がある一方、部活を引退した18歳の高校球児から、野球を始める子どもを持つ親や指導者の世代に「逆お下がり」していることが分かる。

このように、今回の調査で多くの逆お下がり商品があることがわかったが、このデータからどんなことが読み取れるのか?また、背景にはどんなことが考えられるのか?
メルカリ総合研究所と今回共同で分析を実施した、博報堂生活総合研究所の研究員に詳しく話を聞いてみた。

Webだからこそ、生活者が新たな関係性を結べる

――そもそも購入者、出品者の平均年齢は何歳?

メルカリさんは年齢分布を開示していないため、平均年齢を回答することが出来ないのですが、今回の分析対象となった2019年の取引全体では、出品者と購入者の平均年齢にほとんど差はありませんでした。

――逆お下がり品が多く存在したことへの率直な感想は?

「おさがり型」よりも「逆おさがり型」のカテゴリーの方が多いという分析結果は私たちにとっても意外なものでした。
ただ、改めて考えると、これはWebの良い一面の表れだな、とも思いました。 例えば「教える・教わる」という行動もリアルな交友関係の中では年下が年上に教える、というのはなかなか起こりませんが、Q&Aサイトでは小中学生がおじさんの質問に答える、ということも普通に行われています。 

フリマアプリに限らず、匿名性がある程度担保されたWebプラットフォームだからこそ、生活者が新たな関係性を結べるのだ、ということに気付かされる分析結果でした。

手間のかかるものは、出品者が比較的若い年代に偏りやすい

――逆お下がり品が多く存在することになった背景は?

フリマアプリならではの要因として、家電や家具など出品・発送の手間がかかるカテゴリーでは、出品者が比較的若い年代に偏りやすい、という傾向が見られました。 
また、「逆おさがり型」のカテゴリーには新しいツールが下から上の世代に流れる、スポーツ用品が若者から親世代やリ・エントリー層に流れる、といった多様なパターンが存在しています。 
その分、分類されるカテゴリーの数でみると、「おさがり型」を上回ったというのもあると考えています。

資料提供:博報堂生活総合研究所

――若い人の出品の方が、購入者にとっては信頼性がある?

メルカリ全体でいえば出品者と購入者の平均年齢に違いはありません。 
ただ、前述の通り、家電や家具など出品・発送の手間がかかるカテゴリーでは、出品者が比較的若い年代に偏りやすい、という傾向が見られました。 単純に若い年代の出品者の方が重くかさばるものでも発送してくれる、というのはあるかもしれませんね。

1歳刻みで可視化できることで、より鮮明に見えてくる

――今回のデータ、今後、どんな活用ができそう?

博報堂生活総研では現在、ビッグデータをエスノグラフィ(行動観察)の視点で分析する
「デジノグラフィ」の研究を推進しています。
その観点でも二次流通データは、生活者同士の「ものを手放したい」「手に入れたい」という欲求が両方確認できるという点でユニークな存在です。

アンケート調査などの既存の定量調査に比べてビッグデータ解析は、データの”解像度”が非常に優れています。通常の定量調査では10歳刻み、5歳刻みでしか見られなかった波形が、国勢調査などのマクロデータのように1歳刻みで可視化できることで、データの背景にあるストーリーがより鮮明に見えてくるのです。 

今回のコロナ禍の影響で取引量や年齢構造が変化しているものは色々出てきているはずで、特にイエナカの充実については弊所が毎月行っている調査でもいまだに欲求が高まっているため、注目しています。 今後、更に分析を行っていきたいと考えています。

 

少子化や近所付き合いの減少で薄れてしまった「お下がり」文化だが、フリマアプリの中では、下の年代から上の年代へモノを譲る“逆お下がり”という新たな文化が誕生しているようだ。
 

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