日本最大級のチョコレートの祭典「アムール・デュ・ショコラ」が、ジェイアール名古屋タカシマヤで1月17日、開幕しました。石川県七尾市出身で、能登半島地震で自身の店舗が被災した辻口博啓シェフは、故郷を思って特別なスイーツを用意して臨んでいました。
■「夢の国。テーマパークのよう」パティシエとサインや写真撮影も
会場には「メゾンカカオ」や「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」など、世界中から140ブランド、およそ2600種類のチョコレートが集まりました。

「シェ・シバタ」からは、柴田武シェフが愛飲しているというフレーバーティーを使ったチョコレートや、三重県産のミカンにマンゴーをあわせたチョコも。

「トシ・ヨロイヅカ」からは、エクアドルにある自社管理農園のカカオ豆やピスタチオを使った、ブランド創業20周年記念のチョコレートが販売されています。

客ら:
いっぱい買おうかなと。数カ月前から楽しみにしていました。
去年は10万円とかいってないくらい。欲しい物があったら買っちゃおうかなと。
他の方に比べたら全然です。夢の国みたい、テーマパークだと思っています。

ブランドの顔でもある有名パティシエが店頭に立っていて、サインをもらったり一緒に写真を撮る人もいました。
■能登地震で店舗が被災した辻口シェフも「故郷を元気に」
特別な思いで臨んでいたのが、人気パティシエの辻口博啓シェフです。

辻口シェフは、2024年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県七尾市の出身です。辻口さん自身、七尾市にある店が被災しました。
辻口シェフ(2024年1月):
なかなか手付かずのところが多いです。いまだに能登の人たちはすごく苦しんでいるんですけど。

辻口シェフ:
(知り合いが)輪島にお店をつくって、あと1週間でオープンという時に(2024年9月の)雨で流されて。店もぐちゃぐちゃになっちゃって、その方はもう諦めましたね。

「チョコを生かして故郷を元気にしたい」という思いで、辻口シェフは今回、復興支援のため能登の恵みを使ったスイーツを用意しました。

穴水町にある「能登ワイン」の赤ワインを使ったボンボンショコラや、能登町にある「数馬酒造」の日本酒を使ったヒバの香りをまとうチョコレートなどを詰め合わせた“まるごと能登”の一品「C.C.C. 能登の大地の恵み」です。
■想い込められたチョコを試食 先行販売会に生産者の姿
16日に行われた先行販売会には、1年前に被災した生産者も足を運んでいました。
数馬酒造の広報・数馬しほりさん:
当初は茫然自失で。津波が蔵の中に入って、6蔵のうち4蔵が半壊になりまして。お酒は800本ほど割れました。
「能登ワイン」では被災当時、ワイナリーの樽からはワインが1万リットル以上流れ、割れたガラス瓶は足の踏み場もないほど辺り一面に飛び散りました。

能登ワインの営業課長・丸山敦史さん:
ボトル換算で1万5千本ぐらい(流れた)。それを目の当たりにしたときは、すごくみんな落ち込んだんですけど。
地震から1年、復興につなげてほしいとの願いでつくられたチョコレートの詰め合わせを、初めて口にしました。
能登ワインの営業課長・丸山敦史さん:
ふわっとした香りがすごい。チョコレートの常識を変えるような。
数馬酒造の広報・数馬しほりさん:
お酒の甘いコクを感じられて、その後に能登ヒバの香りがふわっと漂って。
辻口シェフ:
小さい火種ですけど、一人一人が心の中で燃やしながら、我慢強く前を向いています。一人でも多くの能登の方々に笑顔になってもらいたい。
他にも、珠州の塩を使ったシュークリームや焼き菓子などもあり、売上の一部は復興支援の義援金として寄付するということです。

能登への応援はもちろん、チョコレートに魅せられた人たちで賑わう「アムール・デュ・ショコラ」は、バレンタインデーの2月14日まで開かれています。
(東海テレビ)