2024年12月、宮崎県宮崎市にある剣道道場「朱雀館道場」の創立50周年を記念した大会が開かれ、剣の達人たちが集った。大会の陰には、少年剣士の成長を願う館長の想いがあった。ある決心をした館長が子どもたちのために見せたかった「贈りもの」とは…

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宮崎市の朱雀館道場では、小中学生約50人が日々稽古に励んでいる。子どもたちを指導するのは、宮崎県警機動隊剣道特練員のメンバー。全国屈指の実力を持つ隊員たちがボランティアで指導している。

朱雀館の館長を務めるのが、警察官OBの大重浩一郎さん(70)だ。大重さんは、警察官になった23歳の時に指導者となり、2001年に館長に就任。海外でも剣道の普及に尽力し、多くの剣士を育ててきた。その大重館長が、いま心に決めていることがあるという。

朱雀館 大重浩一郎館長:
館長は、3月で卒業しようと考えている。試合を見て、子どもたちが自分の剣道に夢と目標を持ってくれればいい。

大重館長の決心とは、朱雀館50周年の「節目の年」に館長を引退するという事。そして記念大会を開催し、子どもたちに最後の贈りものをする事だった。

贈りものは「最高段位の試合と演武」

迎えた記念大会の当日、会場には小中学生だけでなく大人たちの姿があった。

剣道界の最高段位である、八段の腕前を持つ剣道家。合格率が毎年1%に満たない、国内最難関と言われる試験を突破した剣の達人たちだ。

朱雀館 大重浩一郎館長:
大都市であれば毎年見られる八段の試合や演武を、宮崎の子どもたちは見られない。こういう試合があるんだ、こういう演武があるんだ、というのを見せて、よし、僕もこういう剣士になりたいとか、大きな目標を持ってもらえれば本望。

この日は、宮崎県内から33年ぶりに居合道の最高段位・八段に合格した、延岡市の佐藤三郎さんが演武を披露した。

また、九州各県の警察署から六段の剣士を招いて、トーナメントも行われた。

一流の技を目の当たりにした子どもたちは、「自分の剣道が磨いてあって強かった。」「自分が間合いに入ってから打ったり相手がくるのを応じたりするのがすごいと思った。」「勉強になった。」「全国大会も優勝する剣道の人になりたい。」などと話した。

朱雀館 大重浩一郎館長:
本日の大会は、みんなが勉強という位置づけもある。少年剣士たちの今後の剣道の姿に少しでも表れてくれれば、これ以上の幸せはない。

大重館長は、70歳を超えても、まだまだ剣道の勉強を続けるという。「“生涯剣道”と言うからには、一生通じてやっていくものと思っている。それを貫きたい。」と話した。

(テレビ宮崎)

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