「成人の日」の13日、各地で二十歳を祝う式典が行われた。総務省の統計によると、新年を18歳で迎えた「新成人」は109万人で、過去2番目に少なくなっている。
希望を胸に…各地で成人の門出祝う
京都市で行われた「はたちを祝う記念式典」では、二十歳を迎えた舞妓の「市(いち)ゆき」さんが、厳しい修行を経て培った舞踊を披露した。

二十歳を迎えた舞妓「市ゆき」さん:
(緊張で)ガチガチでしたけど楽しく踊らせてもらいました。いろんな方に見てもらって、みんなに憧れていただけるような舞妓さん・芸妓さんになりたいと思っています。
三味線が最初苦手だったんですけど、いろんな場面で「弾いて」と言われるように三味線の稽古を気張りたいなと思ってます。
全国各地で行われた、二十歳を祝う式典。

新成人A:
国家試験合格です。薬剤師を目指しているので、その国家試験に合格して(親に)お礼をしたいです。
たすきに込めた“大人の抱負”。
大阪市阿倍野区にある、関西で一番高いビル「あべのハルカス」では、“大人の階段”を上る記念イベントが行われ、約60人が高さ300メートルの展望台まで1637段の階段を歩いて上った。

新成人B:
最後、展望台に来たとき、おおって思いました。
――たすきの文字は?
新成人B:
我道驀進(がどうばくしん)って読みます。「自分の道を生きる」みたいな。
――成人の日を迎えたが?
新成人C:
全然実感が湧かない。幼なじみでずっと小さい頃から知っているんです。全然大人な感じしない。

また、千葉県浦安市では、毎年恒例の“ディズニー成人式”が行われ、お馴染みの人気キャラクターが新たな門出を祝った。
“ディズニー成人式”の参加者A:
ミッキーが出てきて本当に楽しかったです。
“ディズニー成人式”の参加者B:
将来の夢はホテルを建てたいなと思っていて、建築士の資格を取ることです。

総務省によると、新年を18歳で迎えた「新成人」は109万人で、過去2番目に少なくなっている。
「リカレント教育」で実務力の底上げを
「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。
堤キャスター:
「新成人」が希望を持てる社会であってほしいと思いますが、経済の視点ではどうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
足元では新卒採用の初任給が月収で40万円を超える企業が出てくるなど、賃上げの兆しも出ています。
しかし、重要なのはかつてのように、「今後も手取り収入が増えていく」という自信を持てることです。確かに平均年収は上昇してきてはいるんですが、それ以上に物価の上昇や社会保険料の上昇もあり、手取りは増えていません。
なので、お金だけでは幸せは買えないですが、お金で買える希望もある、ということで、私から2つの提言をしたいと思います。
堤キャスター:
それはなんでしょうか。
エコノミスト・崔真淑さん:
まずは、社会に出た後も必要なタイミングで教育を受ける、「社会人の学び直し」と呼ばれる「リカレント教育」の拡充です。今後「年功序列」は徐々に薄くなっていくと思います。そうすると、自助による給与アップが重要になってきます。
しかし、OECDによる成人を対象にした調査を見ると、日本は「読解力」など全3分野で2位以内を維持しているんですが、数字を使った品質管理といったビジネスの実践に影響する「数的思考力」は25歳以降で顕著に低下しているんです。
一方で、生産性が高いとされる北欧などでは、40代頃まで数的思考力は上昇を見せています。この違いは、リカレント教育による差が大きいとの指摘もあるんです。
企業が人的資本に投資をしなくなっているという指摘もあり、資格取得やリカレント教育に力を入れるような新たな施策が重要になると思います。
手取り収入増加・負担軽減が未来を築く鍵に
堤キャスター:
もう一つはなんでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
やはり、手取り収入の増加です。いくら平均給与が上昇しても、社会保険料などの国民負担率は右肩上がり。今60~70代の人たちが若手だったころは約20%だったんですが、今は50%を超えようとしています。これは生涯年収2億円ならば、約1億円は国に納めている状態になります。若者の中には、通常の35年住宅ローンが組めず、50年ローンという枠組みも出てきています。
是非とも政府には手取り収入が増えるように、物価とともに税控除の枠を拡大していくような、諸外国のような政策についても考え続けてほしいと思います。
堤キャスター:
未来を創っていく若い世代のためにも、私たち現役世代が今できることは何なのか。今も、この先も希望を持てる国であってほしいと思います。新成人のみなさん、おめでとうございます。
(「Live News α」1月13日放送分より)