毎年、雪のシーズンになると発生するスタック車の立往生。大動脈がストップする事態を防ごうと、福井県内では今シーズン初めて、高速道路と国道を、計画的に同時に通行止めにする新たな対策が導入された。毎回、立往生の発端になるという中京・関西方面からの大型トラックの流入を防いで広域う回させる目的もあるが、地元の物流業者からは困惑の声上が上がった。

福井河川国道事務所などが開いた緊急会見
福井河川国道事務所などが開いた緊急会見
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国道と高速を“同時に通行止め”

列島を最強寒波が襲った1月10日午後、福井河川国道事務所などが福井市内で緊急会見を開いた。「国道8号の一部と、北陸道の敦賀ICから南、舞鶴若狭道の一部を同時に通行止めにする」と発表した。

国道と高速道路を同時に通行止めにする目的は、集中的な除雪や、大雪での車の立ち往生を防ぐため。対象区間は、北陸自動車道の米原JCT-敦賀IC、舞鶴若狭自動車道の敦賀JCT-若狭美浜IC、国道8号の疋田交差点(福井・敦賀)-辻交差点(滋賀・栗東)で、予告通り10日深夜2時から始まった。

通行止めは事前に告知も…トラブル発生

国道8号が午前10時に、高速道路が正午に規制解除されたが、8時間にわたり国道と高速が同時にストップ。物流を担う運送業者からは、困惑とともに、代替ルートを早急に整備して欲しいという声が聞かれた。

10日午前10時頃、南条サービスエリアを訪れると、大型車用の駐車場が規制解除を待つトラックで一杯になっていた。サービスエリア内に入れずに入り口で止まっているトラックも。

滋賀方面を目指していたトラックドライバーは「除雪をしてくれていると思うが、早く道を通してくれるとありがたい。除雪車の後ろをついてでも走らせてもらいたい」と話していた。

岐阜に向かうトラックドライバーも「午前8時から約2時間待っている。敦賀から一般道で行こうと思ったが、国道8号の通行止めを知らなかったので足止めされている。高速も国道も通行止めでは身動きが取れない。解除の時期も早く分かるといい」と困惑した様子。

今回の予防的通行止めは、特に物流に大きな影響を与えた。関西・中京方面を中心に食品や機械などを運んでいる福井市の運送業・ラニイ福井貨物。今枝靖博取締役は「以前よりも予防的通行止めの情報を早くもらえるようになったので対応しやすくなっているが、トラックの到着が遅くなり、配達などに影響がでた」と話す。

10日は、予防的通行止めが始まる午前2時までに敦賀を通過しようとドライバーの出発時間を最大2時間前倒しにしたが、思わぬトラブルが発生。予防的通行止めを前に、北陸道でスタック車両が発生し通行止めになったのだ。

「敦賀から福井へ来るトラックは、高速道路が止まったため福井まで一般道を利用したが、2時間ほどの遅れが出た」と話す。

運送業界からあがる「代替ルート」確保の声

運送業が望むのは高速に代わる「代替ルート」の確保。ラニイ福井貨物では「北陸道が通行止めになっても、代替として中部縦貫道を回って関西方面にいけるので、ぜひ中部縦貫道の県内全線開通を早期にしてもらいたい」と話す。

福井と岐阜県を結ぶ中部縦貫自動車道の県内区間は、工事が難航し、開通時期が不透明だ。今回のように、北陸道と国道8号が同時にストップしても、中部縦貫道の県内区間が全て開通すれば、東海北陸道を使う迂回時間が大幅に短縮できる。

円滑な物流のためにも、中部縦貫道の早期全線開通が求められている。

福井テレビ
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