飲食店では、看板メニューと一番人気が全く異なる「なのにグルメ」の店があります。名古屋市中川区の「喜楽」は中華料理店ですが、一番人気は「カツ丼」で、店の壁にも堂々とPRするメニューが貼ってあります。
■お値打ちでおいしい…創業30年の町中華「喜楽」
名古屋市中川区小本本町1丁目の「喜楽」は、創業30年の中華料理店。いわゆる「町中華」の店です。

メインはもちろん中華で、角切りチャーシューがゴロゴロ入った昔懐かしい味のチャーハンや…。

豚骨と鶏ガラスープでうまみたっぷりのラーメンといった定番のほか…。

ランチタイムには、大きな唐揚げが7個ついて900円の定食もあります。

お値打ちだと好評です。
■町中華の“なのにグルメ”はカツ丼
しかし、1番人気は意外なメニューです。このお店は、中華料理店なのにカツ丼が1番人気だといいます。
汁物がついて880円で、ダシがきいた甘めの醤油ダレが染みたカツを、卵でトロッととじています。

男性客A:
優しい味でおいしいですね。
男性客B:
ほかで食べるよりもここならではという感じがしておいしい。
男性客C:
小学校から来ているので、「喜楽」イコール「カツ丼」
ランチタイムに訪れた2人組の女性客がついたテーブルには、既にカツ丼が置かれていました。

女性客:
電話で予約してきました。
わざわざ予約して来る人もいるほどの人気です。
■甘辛いタレはオリジナル…カツ丼は創業当時からのメニュー
味のベースは、ラーメンなどに使う豚骨と鶏ガラの動物系スープに、かつおぶしなどの魚介だしをプラスした、いわゆるWスープ。

このスープをしょうゆと合わせ、みりんと砂糖を加えると、喜楽オリジナルの甘辛いタレになります。
豚肉は、分厚くカットした国産肩ロースを使っています。

カラッと揚げたカツを自家製醤油ダレと合わせ、卵でとじてホカホカご飯の上にのせると完成。

創業当時からメニューにある“町中華”のカツ丼です。
■“なのにグルメ”でも聞けば納得の理由
中華料理店なのに、カツ丼をメニューにしたきっかけについて、店主に聞きました。
喜楽の店主:
ここが最初じゃなく稲沢に勤めとった時に(カツ丼が始まった)、カツ(の肉)肩ロースは(他のメニューに)使っとるもんで、材料があればいちいち仕入れなくてもいい、余分なお金もかからないし。

50年ほど前、店主が修業をしていた町中華の店で、新メニューを考案することになり、思いついたのが豚肉はもちろん、卵や調味料など全て中華料理店にある素材で作ることができる「カツ丼」だったということです。
この“町中華”のカツ丼には、味にも特徴があります。
店主:
鶏ガラと豚のゲンコツ、中華のダシと(和風ダシを)合わせてウチのは作っとる。コクが出るようにね。
通常、カツ丼は和風ダシを使うのが一般的ですが、喜楽では、和風ダシに豚骨、鶏がらスープをプラスした“Wスープ”です。

中華のエッセンスを加えた独特のコク深い味が、人気を呼んだポイントだといいます。
■町中華なのにカツ丼1番人気の現状を店主はどう考えているのか
また、昨今の町中華ブームで、SNSに様々な店が投稿されるなか、「中華料理店なのにカツ丼」という珍しさと、中華独特のうまみがプラスされていることが評判になって拡散され、2年ほど前から、カツ丼を注文する人が一気に増えて、1番人気にまで上り詰めたということです。

メニュー表では、中華の定番チャーハンよりも上に書かれていて、店内の壁にも、堂々と「当店人気NO.1」と貼られています。

町中華の店で、カツ丼が1番人気となっていることについて店主は「何でも売れればいい、自分が作ったものでお客さんが喜んでくれたら嬉しいから」と喜んでいます。
このカツ丼をきっかけに、メインの中華メニューを知ってくれる人も増えていて、もう1つの看板メニュー「唐揚げ」も人気になっています。

最近では「唐揚げ定食」の注文が、カツ丼に迫る勢いになっているということです。
2024年12月5日放送
(東海テレビ)