高齢ドライバーの交通事故をなくそうと70歳以上を対象に運転技能教習が行われた。指導のプロが点数をつけるもので、ほとんどが0点以下だという。免許返納を強制するのではなく判断材料にしてもらうのが目的だ。
3割を占める高齢者の事故
社会問題となっている高齢ドライバーによる交通事故。

65歳以上の高齢者の交通事故は、佐賀県警によると、過失の割合が大きい「第一当事者」となる事故は減少傾向ではあるものの、全体に占める割合は年々上がっていて、2024年は10月までに27.7%と全体の3割近くを占めている。
70歳以上対象に無料で運転技能教習
こうした中、佐賀県警は5年前から70歳以上を対象に運転技能教習を無料で行っている。

運転技能教習は、毎週火曜日に佐賀市の運転免許試験場で開かれていて、交差点やS字・クランクなどの運転技能を免許の試験官も務める指導官が採点する。
33歳ドライバーが教習を体験
この運転技能教習のポイントを取材するため、サガテレビの記者が実際に車を運転し、その技能を指導官に採点してもらうことになった。

記者は33歳の男性。毎日車を運転しているためか自信に満ちた面持ちでハンドルを握る。“運転指導のプロ”が見守る中、記者は車をスタートさせた。

まずは直線道路での急ブレーキのチェック。
指導官から時速40キロのスピードを出すよう指示され急ブレーキを踏む。時速40キロであればブレーキを踏んでから11メートル以内で止まることができれば問題ないという。
急ブレーキのチェックでは、記者の技能に問題はなく、見事クリアした。

しかし、高齢者の中には急ブレーキを踏めない人もいるという。
また、真っすぐに走れない、右折、左折の合図が遅れる高齢ドライバーも多いそうだ。
採点は…まさかの「0点以下」
記者は安全運転を心がけ、危なげなくコースを2周した。

ところが、指導官が伝えた採点結果は…。
「きょうの結果は、トータル0点以下になります」

右折・左折の合図が遅いなどの指摘を受け、結果は100点満点中の0点以下。
これまで教習を受けた高齢ドライバーも同じように0点以下になるケースがほとんどだという。
「現状の運転能力を知るために」
しかし、点数を理由に「免許の返納」を強いられることはない。自分の運転を見直すきっかけにしてもらうのが教習の目的だからだ。

運転免許技能指導官 野中俊英警部補:
自分の現状の運転能力を知ることで、免許の返納を考える方もいるし、もう少し注意すれば、あと2、3年は運転できると思う人もいる。その(判断をする)助けになればと思って教習を実施している
(サガテレビ)