週末の昼時、飲食店の行列に並んだ。
20人も入ればいっぱいの小さな店で、そろそろ私の番だという時に、「スミマセン」と前に2人入ってきた。私の前に並んでいた人の連れらしい。
「え?」と思ったが、とっさに何も言えず、私の順番が少し遅くなった。
なんとなく「割り込み」をされたような気分になったのだが、これってよくあることなのか?
飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに話を聞いた。
■「対応悪いとクレーム」店にとっても悩ましい「代表待ち」 トラブルを避けるには?
飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:2人以上のグループ客で、代表者1人だけが行列に並び、入店の順番が来たタイミングで全員を呼び寄せ、一緒に入店する行為は「代表待ち」と呼ばれています。
飲食店での「代表待ち」は、店が禁止していないのであれば、問題行為とまでは言い切れません。ですが、他のお客様からすると、「割り込み」「マナー違反」というふうに捉えられて、トラブルに発展する可能性があります。

昔はお客さん同士の問題でしたが、今は「店の対応が悪い」とクレームが入ることも少なくありません。
その上、代表待ちは、店側にとっても、人数や待ち時間の予測が難しくなります。混雑状況をうまく管理できずに回転率が低下したり、その対応に追われてスタッフの負担が増え、サービスの低下を招く恐れもあります。
実際に、客の「代表待ち」に悩む店は多く、私どもへも「代表待ち」に関する相談が多く寄せられています。
■「代表待ち禁止」と明示すれば批判は「客」側に
飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:そうならないための対策は、「事前に案内すること」です。店の入り口とかに「全員そろってからお並び下さい」とか「代表待ち禁止」としっかり書いておく。
公式サイトやSNSにも同じ案内を記載すれば、より周知できます。

単純なことのようですが、提示しているのにルールを守らなければ、代表待ちをした人に非難がいきます。それがなければお店に矛先が向いてしまうのです。
並んでまで食べにきてくれたお客様みんなが気分よく過ごせるよう、また店側も余計な作業を増やさないためにも、小さい店であってもルールを設け、明確にするのは大切なことです。
■食器は重ねないで 良かれと思ってやったことが逆効果に…
飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:「ルール」とは少し違いますが、客側が良かれと思ってやったことで、店にとっては迷惑になることがあります。
例えばお皿。みなさん、下げやすいように食器を重ねていませんか?気配りによる行動だと思いますが、実はこれ、店側には困ったことなのです。

良い食器は重ねると傷がつきます。高級店だけでなく、大衆向けのお店でも、こだわった器を使っている店はたくさんあります。大切な食器に傷をつけないためにも、扱いはお店のスタッフに任せましょう。
また、紙ゴミを皿の上などにまとめておくことも多いと思いますが、こちらも場合によっては、お店の迷惑になります。ゴミ分別の手間が増えたり、濡れることで取りづらくなるのです。
■おしぼりで顔を拭くのはマナー違反?
飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:昔から話題に上りますが、再利用するタオルおしぼりで顔や首を拭くといった、他のお客様から見て不快に思う行為は、やはり避けた方がよいでしょう。
暑い日などつい拭きたくなる気持ちはよく分かりますが、ここは我慢して下さい。

また、意外と多いのが化粧品。おしぼりに口紅がついていることは結構多いのです。クリーニングで落ち切らないことも多く、衛生面でも問題があります。
飲食店の始まりは、「旅人を癒すための一杯の思いやりのスープ」からだという説があります。
思いやりを持って、お互いに気持ちよく、おいしく幸せなひとときを過ごして下さい。
(飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん)
(関西テレビ 2025年1月2日)