女性だけの歌劇団『オクロック』の専用劇場と、マンガに関するギャラリーを備えた新しい施設が、12月18日に報道陣に公開された。熊本市の真ん中で新たな観光拠点を目指す。

熊本市に『熊本マンガアーツ』がオープン

マンガ専門の出版社コアミックスが仕掛ける女性だけの歌劇団『オクロック』。マンガを原作とした舞台を演じ、エンターテインメントの力で熊本を盛り上げようと活動している。

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今回、熊本市中心部の電車通りに面した、大劇会館・地下1階にオクロックの専用劇場がオープンすることになった。その名も『熊本マンガアーツ』だ。

150ある客席は舞台から程よい近さで、役者たちの息遣いを感じながらLIVEの演劇を楽しめる。12月19日のグランドオープンを前に、18日夜はコアミックスのマンガ作品『前田慶次かぶき旅』を原作にした新作舞台が報道陣に公開された。

オクロック熊本歌劇団の前田慶次役・菅井育美さんは「きょうはきょうのベストを、あすはあすのベストを出して、どんどんブラッシュアップしていく予定なので、何度でも足を運んでいただきたいなと思います」と話す。

のちに肥後細川藩の初代となる細川忠興の妻・細川ガラシャ。明智光秀の娘で、美しく聡明なガラシャの人生の軌跡を、戦国一の傾奇者・前田慶次が訪ね歩く、という話。歌やダンスを織り込んだ舞台に、会場からは大きな拍手が贈られていた。

熊本コアミックスの持田修一社長は「熊本の皆さんに愛されて県外の人たちが、この劇場を目当てに熊本にやってくるような、そういうふうな拠点にしていきたいと思っています」と話す。

堀江社長がマンガ制作の秘話明かす

この新しい施設、オクロックの華麗な舞台だけではない。劇場のすぐ横にはマンガに関する展示スペースがある。ここでは当時連載されていたままの生原画。本物の原画を直接見ることができる。

原画の取材をしていると、かつて週刊少年ジャンプで『伝説の編集長』と呼ばれたコアミックスの堀江信彦社長が登場。

コアミックスの堀江信彦社長は「(セリフの)写植っていうのは切って貼っていくんだよ。全部これ、(20代のころ)俺が貼ったんだよ。こういうデートシーンも山下達郎さんの曲をテーマに『こんなストーリーがあったらいいね』とか言って作ったりしてたんだよ」と当時のマンガ制作の秘話を語ってくれた。

コアミックスの堀江社長は「キャッツアイの初期は少し横広の顔なんだけど(連載が進むと)もっと(面長で整った)うりざね顔になってくんだよ。その変化が面白い」と話す。

確かに『キャッツ❤アイ』の原画を見てみると、主人公・瞳も初期と、連載が進んでからではかなり顔立ちが違うなど、さまざまな角度からマンガを味わうことができる。

「若い人がチャレンジする場所」

そのほか、複製原画を購入できるコーナーや原画に油絵具で彩色した特別な商品もあり、こちらは55万円と77万円と高額だが、ファン垂涎のクオリティに仕上がっている。

人気マンガのキャラクターやオクロックメンバーのオリジナルグッズも満載で、観光客やインバウンドの需要も期待できそうだ。

前田慶次役の菅井さんは「このマンガという日本の大きな武器を引っ提げて、世界にどんどん羽ばたいていきたいなと。やっぱり最初のころから目標はずっと変わらず、そこはブレていないなと思います」と話す。

また、コアミックスの堀江社長も「お客さんとの化学反応でやっぱり演者たちの芝居も変わってきます。そのLIVEっていうのに価値がある。若い人がマンガであれ、演劇であれ、エンターテインメントにチャレンジするときのチャンスを与える場所として、僕らは考えています」と話した。

『熊本マンガアーツ』は12月20日グランドオープンだ。

(テレビ熊本)

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