全国的に深刻さが指摘されている教員不足。大分県内でも問題となっていて大分県の教員採用試験の倍率は、2015年度の5.2倍から、2025年度は2.6倍と、ここ10年で半分ほどとなっている。
しかし、県教委によると新卒者の出願者数はほぼ変わっていないという。
倍率が下がっている一番の要因は、教員の採用の人数が増えたこと。背景には、子どもが多かった時代の教員が大量に定年退職を迎えたことや、1クラスの人数を抑える30人学級の推進などで、少子化が進む現在でも昔よりも子供に対して必要な教員の数が増えたことがあるそうだ。

つまり必要な教員を確保するためには、以前よりも教員の志望者を増やす必要がある。県教育委員会の取り組みや教育現場の現状について取材した。

教員になるための方法や仕事のやりがいなど “高校生”を対象にした説明会を開催

大分市の高校で行われていたのは教員を志望する“高校生”を対象にした説明会。
教員免許が取得できるかどうかや、取得できる種類などは大学や学部の選択が非常に重要となる。そこで進路を決定する前の段階で、大学の教職課程などについて知ってもらおうと、3年前からこの取り組みを始めた。

大分舞鶴高校
大分舞鶴高校
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説明会に参加した生徒は「大学に入ってからでは遅いし、今まだ2年生だが3年生になる前にこういう話を聞けるというのはすごくいい経験になると思う」と話す。

また教員採用試験では、出願者を増やそうと例年7月ごろに行っていた試験を1か月ほど早めるなどしている。また、採用試験を受けやすくするために県外で実施も始めた。
県教委教育人事課の田中秀昭さんは「やはり民間企業の採用活動の早期化はちょっと無視できない状況にきている。どのような改善策が最適なのか判断をしていきたいと思っている」という。

授業に加え、提出物のチェック、児童が帰った後は事務作業など…多忙な日々を送る小学校教師

一方、学校の現場は…。
別府市立山の手小学校教師の氏川翔大さん(27)。
教員になって3年目、今年度6年生のクラスを受け持っている。

日々の授業に加え、わずかな隙間時間に提出物のチェック、児童が帰った後は事務作業など多忙な日々を送っている。

別府市立山の手小学校教師の氏川翔大さん
別府市立山の手小学校教師の氏川翔大さん

氏川さんは「いろんな人が手伝ってくれるが、どうしても足りていないのは出てきてしまうと思うので、もう少し人員が増えたらうれしい」と話す。

別府市立山の手小学校教師の氏川翔大さん
別府市立山の手小学校教師の氏川翔大さん

県教委によると、2024年の4月時点で県全体で47人の教員が不足していると言う。臨時講師を探し欠員補充を行っているそうだが、その数をゼロにできていないのが現状だ。

「通知表」は手書きをやめ 事務作業の省力化する学校増

一方で教員希望者を増やすためには、教員の負担軽減も重要である。

教員の負担となる業務の一つが学期末に生徒1人ひとりに配布される通知表。昔はすべての項目を先生が手書きでつけていたが、実は今は手書きでない学校が多いそうだ。名簿や成績の管理をサポートする校務支援システムを導入して、通知表の作成などの事務作業を省力化しているという。
そのほか学校現場ではタブレット端末の導入や事務作業を補助するスタッフの配置なども行われている。

氏川翔大さんは「昔はこういったという話を聞くと、待遇面も業務量も考えてもらって働きやすい環境になってきていると感じる。やっぱり大変さはあるんですけどそれ以上に楽しい部分とかやりがいがたくさんあるというところに気づけたので楽しくやれている」と前向きに話した。

問題視されている教員不足と教員の働き方。解決するための取り組みが進んでいる。

(テレビ大分)

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