各地で今季一番の寒さとなった15日、日本海側では雪が強まった。Mr.サンデーが取材したのは、今季最低のマイナス2.8℃を観測した群馬県桐生市の豆腐店「赤城豆腐 すみれ屋」。豆腐作りに欠かせない冷水で、手は真っ赤に…。今季、寒さは例年より早く訪れたという。
この記事の画像(14枚)赤城豆腐 すみれ屋 大塚吉秋さん:
いつもお正月ごろヒーター入れるんだけれども(蛇口が)全然回らなくて、凍っちゃって。ヒーターの電源が入ってないから。例年だとこんなに寒くならないんだけど、今年は特別ね。
冬は仕事するのが嫌です、正直言って。でもね、お客さんいっぱい待っててくれるからね。
15日、東京都心でも最低気温は氷点下間近の0.8℃を観測。全国では42都道府県で今季最低気温を更新し、氷点下、0℃未満の気温を観測したのは564地点に上った。
本格的な冬の到来で、雪道での事故も相次いで発生している。北海道・網走市では12月11日、緊急走行の救急車がアイスバーンの路面でスリップし、道路脇の木に衝突する事故が起きた。
こうした「スリップ」や、雪にはまって抜け出せなくなる「スタック」など、雪道に潜む危険をどうすれば回避できるのか?Mr.サンデーは、札幌市の教習所「札幌東自動車学校」で雪道運転の講習を受ける大学生を取材。慣れない雪道に悪戦苦闘する彼女たちとともに、雪道運転のコツや知っておくべき対策を学んだ。
“緩いブレーキ”でスリップ防止
この日の気温はマイナス1.6℃。スタッドレスタイヤを装着した車にベテラン教官の佐藤恭平教習課長が同乗する。
まず、雪や凍結した路面などで起こる「スリップ現象」を体験。時速20キロまで加速し、強めにブレーキを踏むと、ブレーキを踏んだ瞬間、タイヤがロックされ回転が止まった。しかし車は止まらず、凍結した路面を滑り、ブレーキを踏んだ地点から約3メートルで停止した。
大学生A:
恐怖感はありました。
――操作できそうですか?
大学生A:
(車の制御は)ちょっと難しい気がします。
今度はスピードを時速30キロに上げて、同じようにブレーキを踏むと、約8メートル滑ったところで、恐怖心から思わずハンドルを切ってしまったため、一瞬制御を失った車は斜めになって停止した。
こうした危険な「スリップ」を避けるにはどうすればいいのか?
札幌東自動車学校 佐藤恭平教習課長:
路面が凍結する場合に関しては、早めのブレーキを意識して、なおかつソフトブレーキが重要になってきます。
ブレーキをかける時に、じわじわとゆっくり踏みこむ「ソフトブレーキ」。強めに踏み込んだときと比べるとタイヤはロックせず、スリップも起こらなかった。
佐藤教習課長によると、ポイントは、車が停止するまで“緩いブレーキ”をかけ続けることだという。
近年増える“ザクザク路面”「スタック」脱出方法は
危険な路面状況は、凍結やアイスバーンだけではない。近年増えているというのが“ザクザク路面”だ。
2024年2月、札幌市の最高気温と降雪量を表したグラフを見ると、いわゆる“ドカ雪”の翌日に気温が一気に上昇していたことがわかる。その寒暖差で発生したのが、雪が積もった路面が暖気などにより解けて凸凹になり歩行者や車両の通行に支障をきたす“ザクザク路面”だ。2023年度、札幌市内では、除排雪に関する要望で、このザクザク路面などの苦情が3分の1を占めた。
そして、このザクザク路面が引き起こすのが、雪などにはまったタイヤが空転し動けなくなる「スタック」と呼ばれる現象。スタックに備えて車に積んでおきたいのが、スコップとスタック脱出用ボードだ。スコップでタイヤ回りの雪をかき出し、脱出ボードをタイヤの下にかませる。
雪道運転の講習を受けに来た大学生が実際にやってみたところ、そこには、初心者ならではのミスが…。
札幌東自動車学校 佐藤恭平教習課長:
手順は間違っていないんですけど、ボードがうまくタイヤの溝にはまっていなくて、どうしてもかめていなくて同じような現象が続いております。
実はボードの向きが逆さま。突起がある側をタイヤの下に挟む正しい置き方にすると、無事脱出に成功した。
札幌東自動車学校 佐藤恭平教習課長:
事故を起こしてしまう方に関しては、焦りだとか不安が原因だと思う。冷静さが必要になってくる、そのためには、まずは知識がやっぱり必要。まずは知識、そして体験していただくという順序を踏まえていただければ、かなり冬道に対しても安心感が生まれてくるかなと思います。
脱出ボードがない場合は、毛布や厚手のタオルでも代用可能だという。
大規模な立ち往生など、思わぬ事態も想定される雪道の運転。冬本番を前に万全の備えを心がけたい。
(「Mr.サンデー」12月15日放送)