「『他のコンビネーションに変えたら』とかいろいろ言われるけど、でも自分がやるって決めたので。何が何でも貫き通さないと、という気持ちがあります。『成功するまでは一度、これでやらせて!』と言ってやっています」

その強い思いが実を結び、11月のNHK杯ではフリーで圧巻のノーミス演技を披露。今季、世界最高得点となる152.95点をマークした。
「1試合ごとに課題が見えてきて、やっとNHK杯で今の自分のベストの演技が出せた。そこでやっと、このプログラムになじんできたなという感覚があります。もう少しレベルアップしないといけないと思って、NHK杯の時から構成をちょっと上げて今やっています」
点数の上がる後半に3回転―3回転のコンビネーションジャンプを投入したという。進化し続ける坂本は、さらに構成をレベルアップし全日本に挑む。
フリーの超ハードプログラム『シカゴ』
坂本が今季フリーのプログラムに選んだのは、ブロードウェイミュージカルにもなっている映画『シカゴ』だ。
「プログラムの内容としては、休む暇がないくらい振りが詰まっています。その流れでジャンプ・ステップ・スピンもある。あっという間に終わるような、映画やミュージカルを見ているような感覚で、スケートだけどショーを見ているみたいなフリーになっていると思います」と坂本はこのプログラムの難しさと魅力を語る。
かつて『マトリックス』などハードプログラムをこなしてきたが、今回は特に“キツイ”という。

ここまでの3シーズンは、表現力の幅を広げるため、さまざまなテーマのプログラムに挑んできた。