同性同士の結婚が認められないのは憲法違反だとして、熊本市などに住む同性カップルが国に損害賠償を求めた裁判の控訴審判決で、福岡高裁は12月14日に「憲法13条で定められている幸福追求権を侵害している」などとして、『違憲』と判断した。同性婚訴訟をめぐってはこれまでに全国7つの地裁や高裁で判決が出ているが、「憲法13条に違反している」と判断したのは、今回が初めてだ。

福岡高裁は全国初の幸福追求権違反の判断

この裁判は、熊本市など九州に住む同性カップル3組が、「提出した婚姻届が受理されなかったのは、憲法が保障する婚姻の自由や法の下の平等を侵害している」などとして国に対し、損害賠償を求めたものだ。

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2023年6月の判決で、福岡地裁の上田洋幸裁判長は、『違憲状態』とした一方で、賠償請求については棄却。原告側は地裁判決に一定の評価を示したものの、「国に従来と変わった動きがない」や「主導的に解決する兆しがない」として控訴していた。

12月13日の控訴審判決で、福岡高裁の岡田健裁判長は、「性的指向は個人が選択できるものではなく、婚姻の権利は男女カップル、同性カップルのいずれも等しく有しているものと解される」と指摘。

その上で「当事者が同性である場合の法制度を設けないことは、同性者を伴侶として選択する人の幸福追求権の侵害で、憲法13条に違反している」などとして、『違憲』との判断を示した。

『同性婚訴訟』を巡っては、これまで全国7つの地裁や高裁で判決が出ているが、憲法13条で定められている幸福追求権に違反するとした司法判断は初となる。一方で、賠償請求については棄却した。

同性カップルは福岡高裁の判断を評価

裁判を終え、こうぞうさんは「きょうの判決は想像以上で、とても満足のいくものだった。やっと笑えたなと」と話す。

また、ゆうたさんは「(憲法)13条違反ということを明確に言い切ってくれたことに、すごく安心したし、うれしく思う」と話した。

今回の判決を受けて原告団は会見を開き、森あい弁護士は「『別制度の余地がある』と言わなかった。『婚姻を認めないといけない』とはっきり言ってくれたのがうれしかった」と、福岡高裁判決を評価し、国会に対して、一刻も早い法制度の整備を訴えた。

ゆうたさんは「いろいろなカップルがいて、いち早く多くの人が幸せになる社会を祈っている」と述べ、こうぞうさんも「国会は立法府として仕事できるはず。まだ先は長いかと思うが、見届けてもらいたい」と述べた。

全国3例目の高裁判断となった今回の判決。福岡高裁の判断も含め、高裁レベルでは全て『違憲』とされている。

(テレビ熊本)

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