兵庫県知事選や百条委員会をめぐり加熱したSNS上の誹謗中傷やデマについて、県議会が動くことが決まった。 議員たちは、一体どんな被害を受けたのか。

■【動画で見る】議員が浴びる「SNS上の誹謗中傷」 斎藤知事辞任以降「疑惑でっちあげ知事を陥れた」「クーデターを計画した黒幕」など拡散

■「さっさと辞任せんかい」と電話に「エスカレートしたら危険な目に遭うかな」

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丸尾牧 兵庫県議:『あなたの動画を見るたびに腹が煮えたぎってくるわ』とか『議員を辞めろ』とか、こういうような連絡が延々と続いてる状況ですね。

SNSやメールでの誹謗中傷を訴えるのは百条委員会のメンバーとして、斎藤知事のパワハラ疑惑などを調査してきた丸尾牧県議。 斎藤知事の辞任以降、SNS上では「疑惑をでっちあげ知事を陥れた」、「クーデターを計画した黒幕」などという情報が拡散された。

丸尾牧 県議:貶めるということが目的なのか、デマ動画がたくさん出されて、批判が山ほど入るっていうことについては戸惑いしかないですね。

事務所にも連日、批判の電話が続いている。

留守番電話:さっさと辞任せんかいほんまに情けない奴やな。お前みたいな県議恥ずかしわ、分からんのか。お前ええ加減にせいよボケ、ちゃんとせんかいこのクソボケが、ちゃんとせんかい。

丸尾牧 県議:これ以上エスカレートしたら、危険な目に遭うかなとか思ったりはしたことあります。事務所のシャッターも閉めてしまって、看板も外してる。ちょっと事務所が分からない様にしているという状態は今も続けています。

■百条委員会の委員長には「人間のクズ」「ゴミ」と電話が

同様の被害は百条委員会の委員長を務める奧谷謙一議員にも…

留守番電話:自分はよぉ、責める時だけ責めておいて、逃げてばっかりいるじゃねぇかよ、コノヤロー。逃げてないで堂々と出て来いよ、ほんとてめぇら腐ってる、人間のクズ中のクズだな、おめぇは。このゴミが。議員なんか辞めろコノヤロー。辞職しろコノヤロー。

奥谷謙一県議:コンスタントに来てますね。

 SNS上では奥谷県議が元県民局長の死因を意図的に隠したなどの情報が拡散されている。

奥谷謙一県議:今も電話とかはまだ言われますし、特にXとか、YouTubeは分からないんですけど、そういったところでまだ色々言われているというのは聞いています。 百条委員会をこのまま最後まで調査をやり遂げなあかんという思いは特には変わってないですけど、精神的には誹謗中傷を浴びることによって辛い面があるので萎縮したらあかんというのは心がけてますけど、もしかしたら少し仕事の面でも影響が出てきてしまってるのかもしれないです。

■兵庫県議会「SNS使った誹謗中傷」など法整備を求める意見書を国に提出決定

こうした状況を踏まえ、13日、兵庫県議会では。 「可決することにご異議ございませんか」「異議なし」 選挙期間中のみならず様々な場面での、SNSを使った誹謗中傷や、真偽不明の情報の拡散などを防ぐために、法整備を求める意見書を国に提出することを決めた。

兵庫県 斎藤元彦知事:選挙は民主主義の根幹。きちっと論戦交わしながら投票につなげていくための環境整備は大事だと思う。

■県議の中には「自由にモノが言える空間を大事にしたい 規制には反対」との意見も

一方、このような意見も。

増山誠 県議:自由闊達(かったつ)にモノが言える空間、罰せられることに対して臆病にならずにみんながモノを言える空間を大事にしたいと思っているので。規制をする考えには反対。

 増山県議は、百条委員会の設置に反対したことなどで一時、誹謗中傷を受けた。こういった「暴力的なものや脅迫はあってはならない」とした上で、SNSで有権者が正しい情報を得る場合もあり、過度な規制については慎重になるべきと考えている。

増山誠 県議:マスコミの報道についていうと、一方的に受け取るしかないと。 それを訂正するすべがない。(ネットは)間違った意見、事実誤認にもとづいた意見が述べられたときに、それを否定する事実を言ってくれる人がいて、それがまぜこぜになっている状態だと思う。 そこから、事実は何なのかを1人1人が取捨選択できるのがネット社会。

過熱する状況を良い方向に変えることはできるのか。 国への意見書は来週提出されるということだ。

■匿名での誹謗中傷は犯罪

SNSでの誹謗中傷は今深刻な社会問題になっている。相談件数は右肩上がりになっていて、昨年度は過去最高となった。

京都大学大学院 藤井聡教授:物理的な暴力以外でも言葉の暴力は存在するわけで、SNS空間で匿名でなされているのはもう犯罪です。犯罪である認識を、まず一般の方にも持ってもらわないといけないですし、当局もしっかりと裁いていくのは極めて重要です。 匿名だがら許されるという状況がないように、処罰できるような体制を警察などで作っていくことが大事でしょう。SNSの運営会社もそのあたりは注意しておくことが重要になると思いますね。

■「侮辱罪」これまでより重い罪に

関西テレビ 神崎博報道デスク:法律の面でいうと侮辱罪があるんですが、罰則が強化されていて、これまでは1万円未満の過料で比較的刑法の中では軽い刑罰だったんですが、これを30万円以下の罰金にしたり、1年以下の懲役にしたり、かなり重い罪に変えました。

関西テレビ 神崎博報道デスク:さらに誰が発信しているか特定する場面においても、これまではまず請求したら、SNSの運営会社が分かる、次にどこの誰がやっているかを通信事業者に申し立てるという、2回手間がかかっていたのが、ワンストップでできるようになりました。比較的短い時間で誰が誹謗中傷しているのか特定できるようになっています。

誹謗中傷は言葉の暴力だ。時に刑事、民事でも責任を追及される可能性がある。

(関西テレビ「newsランナー」2024年12月13日放送)

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