サッカー・明治安田J1リーグの今季が、12月8日に幕を閉じた。J1復帰2年目のアルビレックス新潟は、最終節の浦和戦で辛くも引き分け、J1残留を決めた。その翌日、チームの副キャプテンを務めた秋山裕紀に、残留を決めた浦和戦、そしてクラブ初の準優勝に輝いたYBCルヴァンカップを振り返ってもらった。
“残留”かけ臨んだ最終節「とにかく守備を」
「J1残留を決められて、ホッとしています」
試合翌日の率直な思いを口にした秋山。12月8日、アルビレックス新潟はJ1残留をかけた大一番、アウェーでの浦和戦に臨んだ。

前節終了時点で新潟は17位。J2降格圏の18位とは勝ち点差が3の状況で、敗れれば降格する可能性もあった。その中で、最終節の対戦相手・浦和とは、J1リーグでの通算対戦成績が1勝6分24敗と、大きく負け越している。
“難敵”相手ではあったが、「浦和は非常にすばらしい選手が揃っているので、難しい展開になるというのは分かっていたし、チームとしても勝ち点3を取りに行こうというゲームプランで臨んだ」と秋山は試合前の思いについて振り返った。
チケットは完売し、浦和サポーターが座席の多くを占める完全アウェーの埼玉スタジアムで行われた試合は、浦和が試合を支配する時間が続く。
「チームとしては今季、しっかり前からプレッシャーをかけてボールを奪って、ショートカウンターというところも一つ持ち味としてやっていたので、それをこの試合でも出そうというところはあったが、なかなか相手にボールを持たれる時間も長かったので、そういう意味では小野選手をはじめ、守備のラインを統率して、もう一度、我慢の時間をつくろうというところは話をした」
勝利を狙いにはいったものの、とにかく守備に意識を向けて戦った90分間。
「とにかく守備だった。守備のところで、どれだけハードワークできるかがこの試合の肝だと思っていたので、とにかくハードワークを意識していた。シュート4本という、なかなか新潟らしくないスタッツだったかもしれないが、価値ある勝ち点1をもぎ取れたかなと思っている」
相手に攻め込まれる時間が多くなったものの、選手の体を張った守備が功を奏し、難敵・浦和を相手に辛くも引き分け。勝ち点1を積み上げ、自力での残留を決めた。
「難しい試合展開にはなったが、なんとしても自力で残留を決められたというところは非常によかった。この試合に限らず、今季もホーム・アウェー関係なしに、常にホームのような雰囲気をつくってくれるサポーターには感謝している」
平均パス数・プレー総数リーグ1位「常に1つ、2つ先の手を」
2019年に高卒でアルビレックス新潟に加入した秋山。

プロ5年目の今季は副キャプテンを務め、リーグ戦38試合中36試合に出場したほか、1試合の平均パス数は86、ボールに関わった平均プレー数は93.3と、J1リーグの選手の中でトップだった。
クラブOBで現在はアルビレックス新潟営業部の野澤洋輔さんは「J1の中でトップのスタッツの項目もあるが、一番の特長はとにかく技術があること。ボールをもらう前はもちろん、ボールを受けた後も相手の状況によって自分のプレーを変えられる、選択できる選手」と秋山のスゴさを語る。

では実際、試合中にはどんなことを意識しているのだろうか。
秋山は「まずは相手のゴールにいち早く迫るために、ボールを早く前に届けるというところは意識している。また、ボランチなので状況をしっかり把握して、それをどう実行していくか、判断していくかというところのスピード感は求められていくので、常に1つ、2つ先の手を読むようにはしている」と話した。
“てっぺん”まであと一歩も…「本来の力証明できた」
指揮を執った松橋監督が“てっぺん”を目指すと掲げて始まったシーズン。YBCルヴァンカップでは、あと一歩の準優勝に輝いたが、J1リーグでの最終順位は16位だった。

「非常に難しいシーズンを過ごしたなと思うし、最初、監督が言っていたてっぺんを目指すというところからは、逆のプランになってしまったなというところはある。一方、ルヴァンカップについてはチームとして良い方向に進んでいたし、一つ勝てば準決勝、一つ勝てば決勝という、次のステージに進むことができたので、そういう意味では自分たちが持っている本来の力というのはルヴァンカップで証明できたかなというふうに思う」
その届かなかったてっぺんを目指して、最後に来季への意気込みを聞いた。

「今季、熱い応援をありがとうございました。J1残留を決めることができたので、アルビレックス新潟というすばらしいクラブが来年J1でプレーできる。サポーターの皆さんと一緒に来年はてっぺんを目指したい」
(NST新潟総合テレビ)