12月に入り各地で冷え込む中、これだけ寒くなると気になってくるのが「ヒートショック」だ。昼夜の気温差が大きくなる今の時期が一番危険とされているが、専門家は「北国より鹿児島の方が圧倒的に多い」と話す。その理由、そしてどんな対策をとれば防げるのか。
全国的に見てヒートショックが多い鹿児島
法医学が専門の鹿児島大学・林敬人教授は「ヒートショックが単純に寒い時に起こりやすいと考えると、『東北とか北海道とか北国が起こりやすいのでは?』と我々も当初考えていたが、そういう所は意外と(ヒートショックは)少ない。鹿児島県の方が圧倒的に多い」と、地域イメージとは異なる事実を語る。

そもそも「ヒートショック」とはどんな現象なのか。
急激な温度変化で血圧が上下、意識を失い病気や事故に
林教授は、ヒートショックが発生するしくみをこう説明する。

「冬の寒い時期はリビングを温めて生活している。その後にお風呂に入るために脱衣所に行って服を脱ぐので、かなり体感的に寒くなって血管が収縮して血圧が急に上がる。その後にお風呂に入った時に、温かいお湯のせいで今度は血管が開く、拡張して逆に血圧がストンと落ちる。こうなると脳や心臓の血流が落ちて意識を失い病気で亡くなるか、おぼれてしまうか」

林教授によると、鹿児島県内では毎年200人前後が浴室で突然亡くなっていて、その8割ほどがヒートショックによるものとみられているそうだ。

林教授は「その日の1日の最高気温、最低気温、平均気温、1日の気温差が大きい日」とヒートショックが起こりやすい条件を挙げ、「(ヒートショックは)12~2月の冬季に集中している。これからが入浴死が起こりやすい時期になってくる」と、今の時期が一番危険だとして警鐘を鳴らす。
それでは、ヒートショックを防ぐために、どのような対策が有効なのか。
脱衣所と浴室内の寒暖差をなくすことが一番の対策
林教授によると「部屋間の温度差をなくすことが一番大事。経済的に余裕があるなら脱衣所と浴室内に暖房を付けること」と、室温と浴室の寒暖差をなくすことが一番の対策という。

また暖房以外にできることとして、「シャワーを注ぎ込むことで湯気で浴室内が温まるので、簡単にできる予防法」と話す。
入浴のお湯は40℃以下、入浴時間は10分以内に
また林教授はもう一つの対策としてお湯の温度設定を挙げ、「(寒いと)お湯の温度を41℃とか42℃とかに上げてしまいがち。温度差が大きければ大きいほどヒートショックは起こりやすいので、できれば38~40℃ぐらい。これぐらいに設定するのが一番良い」と話す。

入浴時は40℃以下の少しぬるめのお湯にすること、のぼせないように入浴時間は10分以内が望ましく、万が一、意識を失ってしまったとしても顔がお湯に浸からない半身浴が安全と、林教授はアドバイスする。
鹿児島は全国的にヒートショックが多いという意外な結果だ。ますます寒くなるこれからの季節、熱~いお風呂が恋しくなるところだが、入浴時間を安全に過ごし、ヒートショックを予防するためにも、部屋の寒暖差やお湯の温度などの注意を怠らないよう、気をつけることが大切だ。
(鹿児島テレビ)