50年以上続いたシリアのアサド政権が崩壊した。ロシア国営メディアは、アサド大統領がモスクワに到着し、家族とともにロシアへの亡命が認められたと報じている。
専門家は、今後反政府勢力の派閥間での争いが起きる可能性もあり「中東情勢が悪化して原油価格が上がり、我々の生活の負担がさらに増えるリスクがある」と指摘する。
アサド政権崩壊…大統領はロシア亡命
中東・シリアで8日、親子2代・50年以上に及んだアサド政権が崩壊し、市民から喜びの声が上がった。
この記事の画像(14枚)アサド大統領の父親の像は破壊され、脱いだ靴で何度も叩かれていた。アサド大統領のポスターも踏みつけられ、路上に捨てられた。
シリアの反政府勢力は8日、首都ダマスカスに進攻し、空港や放送局を占拠。その後、国営テレビを通じて、アサド政権を崩壊させたと宣言した。
首都ダマスカスでは、戦車の上でピースサインを見せる人など、多くの人が歓声を上げ、喜びを表現した。あちらこちらで祝砲を上げ、あたりは銃声が鳴り響いた。
アサド政権を支援してきたロシアの外務省は8日「大統領が辞任し、国外に去った」との声明を発表。複数のロシア国営メディアは、大統領府関係者の話として、アサド大統領がモスクワに到着し、家族とともにロシアへの亡命が認められたと報じている。
宮殿から家具略奪…今後の情勢、日本への影響は?
8日、アサド大統領と家族が住んでいた宮殿敷地内には市民が殺到。ソファに座って記念撮影する人たちの姿もあった。
長きに渡り独裁政治を行ってきたアサド大統領の裕福な生活を目の当たりにした市民の中には、家具を持ち出す人の姿もあった。
今後の日本への影響について、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さんは次のような懸念を示す。
「アサド政権の失脚だけを考えると(シリア情勢が)落ち着く印象があるが、反体制派っていろんな派閥があるので、その間で争いが引き起こされる可能性もゼロではないので、中東情勢が悪化して原油価格が上がる。我々の生活の負担がさらに増えるリスクがある」
(「イット!」12月9日放送より)