私たちの買い物にどんな影響があるのか。

11月26日、関東を地盤とするスーパー「オーケー」が関西1号店をオープンした。

近年、関西以外を地盤とするスーパーが、相次いで関西に進出している。関西の「スーパー戦国時代」の行方とは…。

【動画】「スーパー戦国時代」に新たな挑戦者『オーケー』関東から関西へ 「ロピア」「肉のハナマサ」など続々

■東大阪市に「オーケー」関西1号店

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26日に東大阪市にオープンした「オーケー」の関西1号店の前には長蛇の列。開店を待ちわびる人が詰めかけた。

並んでいた人:来たのは5時台くらい。早く着いちゃって。6時から並んでます。堺に住んでいて、(車で)1時間ぐらいですかね。

並んでいた人:とにかく安いっていうイメージと、お惣菜がおいしいっていうイメージがあります。めちゃくちゃ楽しみで、きのうも給料日で、今日はお金いっぱい持ってきました。

「オーケー」の売りはなんといっても値段の安さ。「エブリデイ ロープライス」を掲げ、特売はせず、毎日安いことをアピールしている。

買い物客:鶏肉、ももが(100gで)67円とか。

買い物客:キャベツが最近すごく高いんで買い控えしてたんですけど、すごく安かったので。198円ぐらいだったかな。他のところは600円ぐらいのところもある。

生鮮食品だけでなく、メーカーの商品は希望小売価格の半額以下のものも。

さらに、力を入れているのが惣菜。

「ロースかつ重」は322円で、年間640万食を売り上げる看板商品だ。

もちろん、関西進出を意識した新たな惣菜も開発が進められてきた。

担当者:大阪の粉もの文化に関しては、挑戦という形。大阪に行くと必ず自分も楽しみにして食べるのが粉ものなので。

担当者:関東は少し甘めの卵焼きなんですが、関西向けに“だし感”を強くした。

どこかステレオタイプな気もするが…。

新商品は、社長自ら試食して最終決定する。

オーケー 二宮涼太郎社長:これはこれで、おいしい。

開店初日。自慢の総菜の売れ行きは?

買い物客:これ、夜ごはんにしよ。めっちゃ重たい。

と、次々に手に取っていく客。なかなか好調な様子。

■安さの秘密は“徹底したコストカット”

そして、価格へのこだわりも徹底。営業中に突然、値札を付け替えて「9円の値下げ」をした。近くの店でオーケーより安く売っていたことを察知すると、すぐさま値下げするのだ。

それを可能にするのが、徹底したコストカット。例えば、飲料は常温で販売し、冷蔵設備や電気代をカットしている。

さらに缶詰売り場に並ぶツナ缶は、業界最大手の「はごろもフーズ」の商品は少なめで、目立つのは「いなば食品」の商品。棚の大半を占め、値段もかなり割安だ。

このように一部のメーカーの商品を押し出すことで、仕入れ値を下げている。

オーケー 二宮涼太郎社長:A社とB社の商品、比較的同等グレードの同じような商品だなという場合は、どちらがお客さまにおすすめできるのか吟味した上で。

われわれも安く仕入れて安く売る、メーカーにとってもわれわれと取引して、しっかりメリットがあるようにいろいろ工夫をしています。

■「関西スーパー」株式争奪戦に敗れてから3年

「オーケー」といえば…。

記者リポート:『関西スーパー』をめぐる争奪戦、これから始まる臨時株主総会でいよいよ決着がつきます。

2021年、関西スーパーの買収を図り、大株主のエイチ・ツー・オーリテイリングと壮絶な株式争奪戦に。この時は敗北し、関西進出はかなわなかったが…。

オーケー 二宮涼太郎社長:関西市場に、今まで以上に強い関心を持ちました。

その言葉通り、3年を経て、自前の店で関西に乗り出した。

これに対し、関西スーパーを傘下に収めたエイチ・ツー・オーリテイリング側は。

エイチ・ツー・オーリテイリング 林克弘副社長:その時点(2021年)から関西に進出してこられるということは、私どもは想定していました。驚くというよりは、『来られました』という、そういう風な受け止め方をしています。

「オーケー」が関西初進出に選んだ土地には複数のスーパーがあり、激戦区となっている。

オーケー 二宮涼太郎社長:関西にすでにスーパーマーケット自体はたくさんあります。どこに出店しても競争は避けられない。まずはご縁のあったこの土地で、腰を据えて勝つまでやるつもりでがんばります。

意気込みは十分。

対して、オーケーからわずか250メートルほどのところにある「ライフ高井田店」。1996年に開店し、長年地域の人の食卓を支えてきた自負がある。指をくわえて見ているわけもなく、顧客を囲い込むために、10月に店内を大改装した。

ライフ高井田店 大森雅之店長:ベーカリーコーナーなんですが、今まではお惣菜売り場と離れてたんです。今回は一緒にして『即食』という売り場を作りました。小さいピザは特製の窯を入れて、トータルで3倍ぐらい売り上げが上がっています。

力を入れたのは、すぐに食べられる商品=「即食」の充実。開店当初に比べて若者や単身者の来店が増え、需要の高まりを感じた。

ライフ高井田店 大森雅之店長:当然ながら価格は重要なところだが、それ以外のところもつかまないと。安いだけのスーパーになってしまいたくない。付加価値や商品でしっかりアピールする。われわれの敵はオーケーさんだけではないので。

そう、今や関西は「スーパー戦国時代」。

オーケーだけでなく、肉の品ぞろえに特化し大容量パックが魅力の「ロピア」や、鮮魚が売りの「バロー」、IT企業が展開する「トライアル」、それに「肉のハナマサ」も…。

それぞれにインパクトのある特徴を持つスーパーが、こぞって関西に進出してきている。

■「総合・品ぞろえ型」が主流の関西 特色あるスーパーに参入の余地ありか

続々と関西に進出するスーパー。この理由を、長年、関西を地盤にしてきたエイチ・ツー・オー・リテイリングの林副社長に尋ねた。

エイチ・ツー・オー・リテイリング 林克弘副社長:首都圏とか九州、あるいは東海と比べると、(自社の)特徴をものすごく出されている業態というのは、関西圏では少なかったと思います。関西のポテンシャルを考えた時に、参入の余地があると判断なさったのではないでしょうか。

林副社長によると、関西では「総合・品ぞろえ型」の業態が主流。もちろん特売日などを設けて価格にもこだわりつつ…。

マヨネーズだけでも多くの品ぞろえ。さらに、硬くて切るのが大変なかぼちゃはさまざまな形に切って販売。

「あらゆるニーズに」という“おもてなし精神”の表れだそう。

ちなみに傘下の「阪急オアシス」では、ワインの種類を多めにそろえていたり、ちょっといい肉が売られていたりと、付加価値を加える工夫も。

エイチ・ツー・オー・リテイリング 林克弘副社長:新しく参入があるっていうのは刺激になります。これを受けて、その次のお客さまに提供する価値を作っていけるかどうかが、今回試されているということだと思います。

■「関西で必ず勝っていきたい」

オーケー 二宮涼太郎社長:関西に進出する以上、末永くお客さまとお付き合いしたい。いろいろご意見をいただきながら、関西で必ず勝っていきたいと思います。

スーパー同士が高めあうのか、潰しあいになってしまうのか…。

関西の「スーパー戦国時代」の行方から、目が離せない。

(関西テレビ「newsランナー」2024年11月27日放送)

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