肌寒くなってきたこれからの季節に旬を迎える“ふぐ”。
近年、外国人観光客からも注目を集めていて、日本にとって新たなビジネスチャンスになるかもしれない。
【動画】左利きのベトナム人「フグ料理人」右手で「てっさ」さばく技を習得「いつか母国に大阪のフグの魅力を伝えたい」
■大阪の冬の味覚“ふぐ” 店には早速楽しむ客の姿も

ふぐちり、唐揚げ、さらに大阪で“てっさ”といわれる刺身。
旬を迎えている“ふぐ”。好きな人も多いだろう。
古くから“ふぐ”の食文化がある大阪。
国産ふぐの消費量は、全国の60%ほどを大阪が占めているといわれている。

18日、大阪市内のふぐ料理店を覗くと…。
フグを食べに来た客:ことし初めてのフグでございます。
フグを食べに来た客:冬になったら何回か来ます。きょうは私の誕生日で。
フグを食べに来た客:おいしい~。
店内には早速、冬の味覚を楽しむ人たちが。
■ふぐ食が世界へ 来店客は10年で2倍以上も増加 海外観光客からも人気

色々な食べ方で楽しめるフグだが、そもそも、フグを食べる事は世界からすると珍しいのだ。
国際ふぐ協会 古川幸弘会長:世界中、ほとんどの国でふぐは禁食になっています。食中毒が起きて死んだり、健康被害を起こしたりするので食べてはいけないとなっている。
フグは毒があるため、ヨーロッパなど多くの国で食べることが禁止されている。
そんな中、近年、外国人観光客が注目しているのが、安心して食べることができる日本のふぐ料理。

先週、東京で国際ふぐ協会が開いた、ふぐの体験イベント。
タイや中国など、日本へのツアーを企画する旅行会社の担当者たちが参加した。
タイの旅行関係者:初めて食べるのでちょっと怖いでも、でも食べたらおいしいな。
中国の旅行関係者:初めてです。みんなに勧めたいです。

インバウンドの追い風は、すでに大阪のふぐ料理店でも。
(Q.初めてですか?)
台湾から来た観光客:はい、とても歯ごたえがあります。
中国から来た観光客:とてもおいしくて柔らかい。中国にもあるけど、すごく正しく調理しないといけないから。
店に訪れる外国人観光客は、ここ10年で2倍以上に増えたという。

さらにふぐ料理を学ぼうと、外国人スタッフも増えてきている。
玄品グループ株式会社 関門海 西日本営業部 請谷俊介サブマネージャー:自国に戻って、願わくば玄品の店を開いていただきたい。フグってめっちゃうまいんやでってことを、(世界に)知っていただけたら。
日本のフグを世界へ。描く展望とは。
■いつか母国に「自分の店を開きたい」 “利き手”を変えて猛勉強 努力が実り厨房を任される存在に

世界から注目される日本の“ふぐ”。
「いつか母国に店を出したい」と、夢をもつ外国人もいる。
ふぐの調理を学ぶのは、ベトナムから来たライミン・ヒエウさん(30)。
(Q.フグの調理で難しいことは?)
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:毒があるから慎重に、さばかないといけない。
4年前に来日したライミンさん。調理師の専門学校卒業後に入社し、ふぐ調理師の免許も取得した。
そして去年11月、全国の料理人たちが集まり、フグの処理や調理技術を競う大会に関西代表として出場。
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:ベトナムで日本料理すごく人気だから、将来、自分の店を開きたい。
料理人の腕が試される「てっちり」と「てっさ」の盛り付けを華麗に仕上げ、見事、審査員特別賞を受賞したのだ。

なぜ“フグ”の道を選んだのだろうか?
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:専門学校の時に、ふぐ料理を見て“一目ぼれ”ですね。“てっさ”はすごく美しいですね、繊細で。
しかし、ベトナムでは食中毒が相次ぎ、およそ20年前からふぐを取ることも、食べることも禁止に…。
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:解禁するために、ふぐの知識、技術、魅力をベトナム人に広めていきたい。

いつかベトナムでふぐ料理を出すために猛勉強中ですが、簡単な道のりではない。
もともとは“左利き”だったが、「てっさ」は、“右手”でさばいている。
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:私1人だけ左利き。(右手用の包丁を)左手で使ったら危ない。
(Q.左手用の包丁がない?)
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:ありますけど、2倍ぐらい高価。
“厚さ1ミリ”の透明で、美しい「てっさ」を切るために…。
そんな努力が実り、今では厨房を任される存在になった。

玄品 京都祇園 高橋靖恵副店長:料理はバッチリなので、あとはお会計とか数字の面ですね。
玄品 京都祇園 ライミン・ヒエウさん:日本語がまだまだですから、結構、頑張ってます…。
外国人から脚光を浴びる日本のふぐ。
世界中に広がる日が来るかもしれない。
(関西テレビ「newsランナー」2024年11月19日放送)