家族がスマホやパソコン上で保管していた「デジタル遺産」を巡る相談が急増している。通帳や書類がなく、遺族が把握できずに相続で揉めるケースも増加。弁護士はパスワードを家族に知らせておくなどの対策を勧めている。

トラブルの要因に…デジタル遺産で悩みも

亡くなった家族が、スマホやパソコン上で保管していた財産「デジタル遺産」。今の時代、なんでもデジタルで完結するため、通帳や書類がなく、引き継ぐ際に困るケースが増えているという。

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50代から70代の方に、どのくらいデジタル上で資産を運用・管理しているのかを聞いた。

70代:
株がブームになる前から少しずつ。(ネット証券に)ほぼ2000万ぐらい。ノートとかね、作っておかなきゃいけないのかなと思って、子どもたちに。

50代:
NISAとかiDeCoとかやってますね。NISAは3年ぐらいなんで、それでも多分10%以上になってますよ。

遠藤キャスター:
取材に応じた方の半数以上が、実際に利用していたんですが、こんな悩みもありました。

50代:
仮想通貨とか(自分が亡くなった時に家族が)ログインができなければとかっていう問題がもし発生するのであれば、どうやって回収するのかなっていうのは分からない。

70代:
スマホで銀行取引してますよね。何かあったときにパスワードとかね。ああいうのはちゃんと(家族に)知らせとかなくちゃいけないなとは思ってます。

遠藤キャスター:
家族のために、しっかり備える男性もいました。

50代:
遺書みたいなかたち。そこはちゃんとしておかないと。口座自体は電子口座は3つ入ってて各口座に1000万以上入れてます。なので3000万ぐらいはあるはずです。同じ証券会社に口座をもうひとつ用意して、家族用ので通すと下ろしやすくなるとか。自分で使うのではなくて家族のために残している。子どもにも伝えています。

遠藤キャスター:
デジタル遺産に詳しい弁護士にも、話を聞きました。

日本デジタル終活協会・伊勢田篤史弁護士:
一番の問題点は、本人が亡くなってしまった後ですね。遺族がデジタル遺品・遺産の内容を把握することができない。「亡くなったお父さんに300万ネット証券で口座あった」と例えば分かった時に、「隠してただろ」みたいなことを言うんですね。遺産相続の場ではちょっとしたことで揉めてしまう。

パスワード解除は高額に…デジタル遺産の引き継ぎ方法

遠藤キャスター:
家族が亡くなった後、色々と大変だったという方が多いと思いますが、特に今、ログインやパスワードなどが分からずに確認作業ができなくて困ったというケースが本当に多いです。もし自分に万が一の時、そのための備えも大事ですし、大切な人が亡くなった場合の備えというのは、やはり大事になってきますよね。

青井実キャスター:
ただ生前にスマホのパスワードを見せたくない人もいるし、一方で残さなければいけないから管理が難しいですよね。

宮司愛海キャスター:
私は母が亡くなったんですけど、事前に教えてもらっていました。信頼関係の上で成り立つものだから、なかなか難しいところですよね。

遠藤キャスター:
伊勢田弁護士によると、亡くなった家族がスマホのパスワードを共有していなかった場合として、まず専門業者に依頼して解除してもらうことはできます。ただ非常に高額で時間がかかるというデメリットもあるので、これは最終手段で、やはり家族間でなるべく共有した方がいいということです。

その共有の仕方は事前に出来ることとして、例えばパスワードを書いて封筒に入れて、封をして、それをどこかに保管しておく。その保管場所を家族に事前に共有しておくなども、ひとつの例として上げられます。

遠藤キャスター:
口座などのリストを作ってノートにしておいて、パスワードでなくてもどういった口座があるのか共有しておく。

そして、新しいサービスもあります。「デジタル遺産引き継ぎサービス」というものなんですが、これは事前に登録をしておくと、引き継ぎ会社から登録者に定期的に連絡がきます。一定期間応答がないと、事前に決めていた継承者にパスワード等通知するサービスです。

SPキャスター岩田朋子さん:
連絡が取れないからといって確認してくれるわけではなくて、パスワードが自動的に継承者に行ってしまうので、それも問題ですよね。私も終活をやってるんですけど、考えちゃいますよね。私みたいに独身だと誰に引き継いだらいいのかっていうのもありますし、逆に年老いた父とかに聞くと「まだ早い」みたいなことを言われちゃうと空気が悪くなってしまって。そうこうしているうちに、認知症になっちゃったりと。

遠藤キャスター:
デジタル遺産は、どういったものが相続できるのかできないのか紹介します。できるものとしては、ネット証券や暗号資産、バーコード決済の電子マネーなど、航空会社のマイルに関しては相続できます。

一方で、相続できないものもあります。買い物に付与されるVポイントやDポイント、楽天ポイントなどは相続できないということなので、貯めずに使っておくということも大事だということでした。

青井キャスター:
自分のためにもそうですし、家族のためにみんなで考えておく必要がありますね。
(「イット!」11月14日放送より)

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