新型コロナウイルスの影響を受け世界は激変した。
各特派員が世界の今をリポートする。(第20回)
医師団体がストライキ
新型コロナウイルスの感染が再拡大し、ソウルを中心に連日数百人の感染者が出ている最中に、医師団体がストライキを決行しています。ストの影響で、こちらの病院では1日100 件以上あった手術件数が半分に減り、全国3000カ所以上の医療機関が休診に追い込まれています。ストの原因は医大の定員拡大など政府が進める政策に対し、「現場の声を無視している」と医師団体が反発したためです。文在寅大統領は「法執行で強力に対処を」と命じ、職場復帰に応じなければ厳罰を科す方針でスト収拾の目途は立っていません。国民そっちのけで争う医師と政府の双方に批判の声が上がっています。(ソウル支局 熱海)
どうなる?TikTok
日本でお馴染みのアプリ「TikTok」はアメリカでも大人気で利用者1億人以上とされています。会社の拠点はここカリフォルニア州にもあり、事業の拡大で、2020年1月に、より大きなオフィスに引っ越したばかりです。しかし、トランプ大統領は、運営元が中国企業で、個人情報が収集され安全保障上のリスクがあるとして、関係先との取引を禁じる大統領令を出しました。国内事業の売却か利用禁止かを迫られたTikTok側は「大統領選に向けた反中国キャンペーンだ」と反発。証拠も適正な手続きもないとして、裁判に訴えたことから、行方が注目されています。(ロサンゼルス支局 益野)
注目は最新性ステルス戦闘機
ロシアでは6回目となる国際軍事技術フォーラムが開かれていて、2万8000以上の戦闘機や戦車などが勢ぞろいしています。特に注目を浴びているのは第5世代の最新鋭ステルス戦闘機「Su-57」です。音速を超えるマッハ2の最高速度を出せる抜群の性能に加え、空中でぐるりと水平に1回転できるなど高い操縦性を備えています。毎年、夏の終わりに開かれているこのフォーラム。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、例年通りの規模で実施されています。ウイルスをコントロールしながら、圧倒的な軍事力をアピールし、軍事大国としての存在感を維持する狙いがあるとみられます。(モスクワ支局 関根)
ヘンテコ本で波紋
中国・吉林省の公安庁幹部が書いたヘンテコ本が思わぬ波紋を呼んでいます。「平安経」と題されたこの本は「中国平安、ネパール平安、日本平安」「眼平安、耳平安、鼻平安…」「1歳平安、2歳平安…」など、あらゆる単語に「平安」を付け、300ページ以上に渡り羅列したものです。公安庁の副庁長の著書とあって地元当局やメディアが絶賛しましたが、あまりのゴマすりぶりにネットで批判が殺到、当局が調査に乗り出しました。その結果、大手出版社の名前を騙るなど不正が明らかになり、副庁長は免職に追い込まれました。結局、平安どころか、本人にも中国社会にも混乱をもたらしただけに終わっています。(北京支局 高橋)
ホワイトハウスで異例の指名受諾演説
大統領選の一大イベント・共和党大会は、文字通り「トランプ一色」に染まりました。慣例を破りここホワイトハウスで指名受諾演説をし、巻き返しをめざしたトランプ大統領ですが、意外な結果も出ています。最新の世論調査では、民主党のバイデン候補が依然優勢なものの、支持率の差に大きな変化はなく、支持率を急激に押し上げる「党大会効果」は両陣営とも見られていないのです。新型コロナウイルス対策で、党大会の規模が縮小されたことなどが影響したと見られます。一方、ホワイトハウス周辺の土産物店には、民主党の副大統領候補、カマラ・ハリス氏のグッズが新たに登場、“場外”でも激しく火花を散らしています。(ワシントン支局 瀬島)
「レッドブル」創業者の孫を探せ
タイで相次ぐ反政府デモ、その一因となったのが栄養ドリンク「レッドブル」創業者の孫によるひき逃げ事件への対応です。事件が起きたのは2012年、「レッドブル」の創業者の孫がフェラーリを運転中に、警察官をひき逃げし死亡させた疑いがもたれたのです。しかし捜査は進展せず、容疑者は2017年に出国して、うやむやに。さらに2020年6月、全ての訴追が突然取り下げられたことから、「金持ち優遇」だと市民の怒りが爆発し、反政府デモに拍車をかける形となりました。慌てた当局は再捜査を指示し、再び逮捕状を取るなど、対応が二転三転しています。(バンコク支局 佐々木)
モーリシャスへ日本の支援を
モーリシャス沖で日本の貨物船から重油が流出した事故はモーリシャスが元々イギリス領だったこともあり、こちらでもかなり関心が高いです。メディアは事故の発生当時だけでなく、「船を沖に沈めることになった」「座礁事故の現場近くで17 頭のイルカが死んだ、原因は不明」などと、今も報道を続けています。一方、現地に住んで19 年になる日本人女性は、思うように進まない重油除去に胸を痛めさらなる国際支援を訴えました。「日本などから最新技術を必要としていてそれをプッシュして欲しい」「今後日本の方はモーリシャスに来て頂きたい」(ロンドン支局 小堀)
サッカー応援でサポーターが暴徒化
ヨーロッパのサッカー最強クラブチームをかけたチャンピオンズリーグ決勝戦が23日、ポルトガルの首都リスボンで行われました。フランスの「パリサンジェルマン」が初めて決勝戦まで勝ち進み、地元では大きな盛り上がりを見せましたが、サポーターの一部が暴徒化し、店が破壊されたり機動隊との衝突が起きる事態となりました。こちら、シャンゼリゼ通りにある歴代大統領御用達の革靴を扱う有名な店もガラスを割られる被害に遭いました。新型コロナウイルス対策で、サポーターにマスクを配るなどの措置がとられた一方、暴力行為を防げなかったことに、当局の対応が甘すぎるとの批判も出ています。(パリ支局 石井)
日本の防災対策を参考に
この度、市内に初めて完成した防災公園に来ています。こちらのベンチ、屋根にあるソーラーパネルで、携帯電話などを24時間充電できるようになっています。そしてこちらにある芝生のスペース、避難する人たちがテントを張って生活できるようになっています。さらにこのベンチ、災害時に必要な物資がこのように備蓄されているんです。過去に何度も大地震を経験しているトルコですが、対策はそれほど進んでいません。また、近い将来大地震が発生するとの予測も出ています。そこで、イスタンブール市では、主に日本の防災対策を参考に、防災公園第1号をオープン。今後、こうした防災施設を市内に1000カ所ほど整備する計画です。(イスタンブール支局 清水)
大坂なおみ選手の憤り
あちらが、大坂なおみ選手が出場していたUSオープン前哨戦の大会の会場です。大坂選手は26 日、ウィスコンシン州で起きた警察官による黒人男性への銃撃に抗議し、「私はアスリートである前に黒人女性です」「警察による黒人の虐殺が続くのをみていると、率直に言って、吐き気がします」などとツイートし、準決勝の『棄権』を表明しました。大リーグやNBAなどプロスポーツの試合も抗議の意思を示すため延期が相次いでいます。大坂選手はその後、延期された準決勝に出場することになりましたが、アスリートの間でも再び、人種差別への怒りが沸き起こっています。(ニューヨーク支局 新庄)
【取材:FNN海外特派員取材班】